忙しい毎日の合間に、ふと「静かな街をゆっくり歩きたい」と思う瞬間はありませんか。食文化創造都市・臼杵は、歴史・文化・食が調和し、心をほどくような時間が流れる場所。陶芸家の父を持ち、臼杵焼の広報を務める臼杵市出身の宇佐美タキさんが、友人のLUEさんとともに“臼杵の技と美意識”にふれる旅へ出かけます。大人だからこそ味わえる、臼杵ならではの豊かな体験がここに。
「臼杵城跡」で感じる、静かな時間のはじまり

旅の最初に訪れたのは、街中に溶け込むように佇む「臼杵城跡」。
日常と歴史が自然に重なり合う光景は、臼杵ならでは。

「臼杵城跡」はキリシタン大名・大友宗麟の居城として知られ、臼杵の歴史的シンボルともいえる場所。

馬の鐙に似ていることから名付けられた鐙坂や、堂々とした大門櫓をくぐり、小高い井楼櫓跡へ登れば、街並みと心地よい風がふたりを迎えてくれます。

春には桜が咲き誇り、訪れるたび違う表情を見せてくれる、心静まる場所です。
「さんぽみち beer&wine」でほっとひと息ランチ

城跡を歩いたあとは、カフェ居酒屋「さんぽみち beer&wine」へ。彩りのよいキッシュプレートに、せいろで蒸した玄米プチパン。天然酵母のパンはふわふわ、もちもちで、心までほどけていくよう。午後の旅へ向け、エネルギーをチャージ。ほっこりした気分で次の目的地へ向かいます。
築100年の長屋に佇む「ケレシュ雑貨部」で宝探し

石畳の道を抜け、築100年の長屋にある「ケレシュ雑貨部」へ。1950〜70年代のアンティーク食器や雑貨が約300点並び、まるで小さな博物館。海外の蚤の市で一点一点買い付けたアイテムに触れる時間は、心ときめくひととき。「長く大切に使えるもの」を探したくなる場所です。店主の藤谷愛さんの博学な知識にも出会えます。
老舗「赤穂屋」で着物をまとい、茶室で凛とした時間を

創業370年の老舗呉服店「赤穂屋」で着物をレンタルし、街歩きへ。豊富な着物や帯の色柄に迷うのも非日常的で特別なひととき。築100年の茶室では、16代目から作法を教わりながら一服。お抹茶のやさしい苦味が、日常の忙しさで張り詰めていた心をふと緩ませてくれます。
老舗「小手川酒造」で、歴史が宿る蔵と発酵文化を味わう

創業170年の「小手川酒造」では、国有形文化財の蔵で試飲体験。仕込み水の代わりに純米酒を使う貴醸酒はまるでフルーツワインのように華やかな味わい。黒麹の焼酎は香ばしく、深い余韻が心に残ります。職人の手仕事が息づく味わいに、しみじみとした感動が湧き上がります。

ポルトガルの風を感じる「久家の大蔵」

ポルトガルの装飾絵タイル“アズレージョ”が彩る「久家の大蔵」。現在はギャラリーとして開放されています。かつての酒蔵を歩くと、臼杵の歴史と異国情緒が静かに交差します。
青と白のコントラストが写真映えし、旅の思い出の一枚にぴったり。
「稲葉家下屋敷」で庭を眺める、贅沢な時間

旧臼杵藩主・稲葉家の滞在場所として建てられた「稲葉家下屋敷」。

縁側に腰掛け、風と光の移ろいを感じ、木々の生命力に癒やされながら過ごすひととき。どの部屋からも庭を望める造りで、四季折々の景色が楽しめます。

「八坂神社」で身を整えるひととき

“祇園様”と親しまれる「八坂神社」。ご神木に見守られながら歩く境内には、凛とした空気が流れています。
旅の途中でふと、心を整えたくなるような場所です。

「啄木茶房 ふしみや」で文学の余韻に浸る

着物姿で最後に訪れたのは喫茶「啄木茶房 ふしみや」。レトロな店内には、石川啄木が残した“ラブレター”がそっと置かれ、文学の香りが漂います。つきたてのようなやわらかい餅のぜんざいは、締めくくりにふさわしいやさしい甘さ。
美しい石畳に魅了される「二王座 歴史の道」

石畳が続く「二王座」は、臼杵を象徴する景観。
凝灰岩を削って造られた「切り通し」の道は、緩やかなカーブが美しく、写真映えも抜群。
かつては街道筋としての役割を果たし、江戸時代には武家屋敷や寺院が建ち並んでいました。その面影を今に残し、苔むす石垣や静かな路地は、時を重ねてきた街の呼吸を感じさせます。

異国情緒漂う「サーラ・デ・うすき」でひと休み

大友宗麟の時代の修練院をイメージした「サーラ・デ・うすき」。
郷土料理を味わえる飲食店などが集まり、旅人の憩いの場になっています。
にぎわい広場に設置された「う♡(すき)」の看板は記念撮影におすすめ。
400年の歴史「カニ醤油」で味わう、深みのある“手仕事”


重厚な店構えの「カニ醤油」は創業400年、大分県最古の醤油味噌商です。脈々とつながれてきた手仕事が息づいています。
人気の“手詰めあわせ味噌”や、キャラメルのような風味の“みそソフト”は、臼杵ならではの味わい。
古い看板に宿る時の流れも、訪れる価値のひとつです。
臼杵の絶景・絶品“フグ”を味わう「川口屋旅館別亭 久楽」

臼杵の名物フグは、鮮度へのこだわりが違います。
旅館「久楽」は、臼杵湾にせり出すように建ち、部屋からの眺めは息をのむほど。

建物は、かつて遊郭として使われていたそうです。往時の内装を再現した一番人気の「朝日」の部屋は、臼杵湾に昇る朝日を贅沢に独り占めできます。

フグコースは刺し身から雑炊まで全て丁寧な手仕事。
フグは当日にさばいたものだけを使用するため、身の透明感としっかりとした弾力は唯一無二。ポン酢までもが自家製で、カボスの皮のえぐみが入らないよう丁寧に手絞りされています。
窓の外に広がる臼杵湾の景色と丁寧に仕上げられたフグ料理。
旬を知り尽くした職人の仕事に、心まで満たされる時間でした。
【INFORMATION】
臼杵城跡

大友宗麟以降、福原直高、太田一吉が城主を務めた後、稲葉氏が廃藩置県まで15代にわたって居城としました。廃藩置県後、臼杵城は廃城が決まり取り壊しに。
住所:大分県臼杵市臼杵
電話:0972-63-1111(臼杵市産業観光課)
さんぽみち beer&wine

昼はカフェ、夜はバル形式のカフェ居酒屋。ランチは「人気のキッシュプレート」(1,480円)、「マグロそぼろ丼」(1,380円)などを提供。昼飲みができるのがうれしいポイント。夜のおでんやピザも評判。
住所:大分県臼杵市臼杵677-6
電話:0972-77-5023
URL:https://www.instagram.com/sanpomichi_beer_wine/
ケレシュ雑貨部

築100年を超える4軒長屋の一角に位置。代表の藤谷愛さんが欧米の蚤(のみ)の市で買い付けたすてきなアイテムが並びます。100年前の商品などを見つける楽しみも。店舗の2階には1日1組限定のゲストハウスがあります。
住所:大分県臼杵市臼杵498
電話:080-1773-8228
URL:https://www.instagram.com/usukizakka
赤穂屋

播州赤穂に生まれ臼杵の地に移り住み、創業370年の老舗呉服店。「街歩きレンタルプラン」(浴衣3,000円、着物4,000円)が観光客に人気。16代目の中村充さんがもてなす「お茶席体験プラン」(プラス1人1,000円)も追加可能。※予約がおすすめ
住所:大分県臼杵市畳屋町7組八町大路商店街
電話:0972-62-2324
URL:http://www.akouya.com/
小手川酒造

1855年創業。酒造りの閑散期に醸造・発酵技術をいかして、みそ、しょうゆを造り始めたのがフンドーキン醤油の前身に。蔵説明が受けられ、約15種類の商品の試飲も可能。おすすめは「宗麟 純米大吟醸」。
住所:大分県臼杵市臼杵538
電話:0972-62-3335
URL:https://kotegawa.fundokin.co.jp/
久家の大蔵

造り酒屋「久家本店」が酒の貯蔵庫として使用していた酒蔵。蔵の外壁や内部に施された作家・ロジェリオ・リベイロ氏による伝統的装飾絵タイル・アズレージョが輝きを放ちます。
住所:大分県臼杵市浜町
電話:0972-63-1111
稲葉家下屋敷

廃藩置県で東京に移住した旧藩主・稲葉家の臼杵滞在所として1902年に建築。旧大名の格式を今に伝える大書院は一時期、料亭として利用されていました。国登録有形文化財。
住所:大分県臼杵市臼杵6-6
電話:080-4063-9855
入館料:高校生以上330円
八坂神社

奥州磐前(福島県いわき市)鶴ケ峰から臼杵に着岸し、神ノ木原に鎮座。臼杵領の総鎮守としてあがめられてきた神社。明治維新後「祇園宮」から「八坂神社」に改められました。
住所:大分県臼杵市臼杵1番地
電話:0972-62-3673
URL:http://usukiyasakajinnjya.jp/
啄木茶房 ふしみや

店主・平山治子さんが1人で切り盛りする喫茶店は、地元の常連にとって寄り合いの場でもあります。先代の平山良太郎さんが「みひかり会」という文学グループを興して、詩人の石川啄木らと交流が生まれたそう。つきたてのようにやわらかい餅が入った「ぜんざい」(600円)が美味。
住所:大分県臼杵市唐人町1
電話:0972-62-2237
二王座 歴史の道

祇園社(現在の八坂神社)が鎮座し、仁王門があったことから「二王座」と呼ばれるようになったといわれています。旧真光寺の2階から二王座を眺めるのもおすすめ。旧真光寺は休憩所として無料で利用できます。
住所:大分県臼杵市二王座
電話:0972-64-7130
サーラ・デ・うすき

「カニ醤油」の蔵だった建物を憩いの場として活用。臼杵の情報発信のほか、臼杵ブランド認証「うすき地もの」商品を取り扱う施設です。
住所:大分県臼杵市臼杵210-3
電話:0972-64-7271
カニ醤油

1600(慶長5)年「鑰屋(かぎや)」と称して創業。世襲で400年以上にわたって同じ場所で醤油や味噌などの製造販売を続けています。併設するカフェスペース「café Kagiya」で味わうランチも人気。
住所:大分県臼杵市臼杵218
電話:0972-63-1177
URL:https://www.kagiya-1600.com/
川口屋旅館別亭 久楽(ひさらく)

臼杵湾を望む客室でぜいたくなフグが味わえます。「フグコース」(2人、13,310円)は刺し身、すし、唐揚げ、鍋、雑炊、デザートで構成。「夏フグコース」(2人、13,310円)は鍋の代わりに、カルパッチョ、焼きフグ、みそ汁などを提供。夏期は、臼杵湾に面した庭で1日1組限定でバーベキューが可能です。
住所:大分県臼杵市下ノ江1301
電話:0972-64-2000
URL:https://hisaraku.com/#
木梨ふぐ九州店

1954年創業。高品質の養殖フグを仕入れて出荷するフグ専門加工卸売り店です。養殖のフグは産卵にかかわらないため、一年中身の質が落ちることがないといいます。夕方の料理店の注文に対して、その日の朝にさばくのが臼杵のスタイル。「『臼杵で食べるフグはやっぱり違うね』との声に応えていきます」と社長の木梨雅孝さん。
住所:大分県臼杵市板知屋1257
電話:0972-62-2677
URL:https://kinashifugu.jp/
<後編へ続く>
臼杵観光協会
URL:https://www.usuki-kanko.com/





