「口出ししないでちょうだい!」優しかった90代大家さんが怒鳴った“乙女すぎる理由”

引っ越し当日に大家さんに手土産持参で挨拶に行き、抜かりなかったはずの私。ところが、ひょんなことで大家さんを怒らせる事態に。借主と貸主との賃貸トラブルには、こんなケースもあるという出来事でした。

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優しい大家さんとの出会い

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夫の転勤に伴い、とある田舎町の賃貸戸建てに引っ越しました。大家さんは、私たちが借りた物件のすぐ裏の家に、ご主人を亡くされてからひとりで住む90歳代の女性。家族とお土産持参で挨拶に伺うと、私たちの入居をとても喜んでくれました。

顔を合わせるたび、「なにか困ったことがあったらすぐに言ってね。こちらが100%負担するから」と優しい言葉をかけてくれる大家さん。これまで住んだ物件では、修理を頼んでもなかなか応じてもらえないなど、賃貸トラブルを経験していたため、最初はとてもありがたいと思っていました。

突然の豹変にびっくり…

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引っ越しから3カ月ほど過ぎたある日、大家さんが我が家にやってきました。家の裏側にある駐車場へ向かう通路を直したいから、工事の間だけ車をほかの場所に停めてもらいたいという話でした。その通路には確かにちょっとしたデコボコがあるものの、車でこれまで何度も通っていて特に問題がありません。そのため「わざわざ直していただく必要はないですよ」と伝えましたが、大家さんは頑なに万が一にも車が壊れたら悪いから直すというのです。

費用は大家さん持ちですし、そもそも通路も大家さんの私有地であり私たちがとやかくいう話でもないと思ったので、「わかりました」といってその場を収めました。でも、正直そこまで気を遣ってくれる理由がよくわかりません。

後日、買い物から帰宅すると、早速業者さんを呼んだのか、大家さんと作業着姿の中年男性が道路で立ち話しをしていました。こちらから「直してほしい」と申し出たわけではないですが、そのままスルーして玄関に入るのも躊躇われ、私も立ち会うことに。

業者さんから「車の出入りで困っていますか?」と聞かれた私は、大家さんに無駄な負担をさせたくないという思いから、「なにも困っていません」と答えました。すると、大家さんが突然
「あなたは関係ないから口出ししないでちょうだい!」と大声を上げたのです。

優しい言葉の真意

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びっくりした私は、頭を下げると家へ戻りました。最初は大家さんの善意を踏みにじるようなことをいってしまったと猛省していましたが、ふと、窓の向こうで業者さんと談笑する大家さんの姿が目に入りました。

上質そうな上着に首元には華やかなスカーフ、しかもメイクもしている…。

普段の大家さんは肌着みたいなシャツにズボンを履いていて、もちろんすっぴんです。前に夫が「大家さんって上品なおばあちゃんって感じだよね」といって、「…ん?」と不思議に感じたことを思い出しました。

ここで、私の中でひとつの仮説が生まれます。

明らかに女の私の前と男性の前では見た目に違いがあること。そして、会うたびにやたら困りごとがないか聞いてくること。もし修理を依頼するという建前で、業者さんとの会話やコミュニケーションの機会を得ているのだとしたら…? それなら「直さなくてもいい」といった私にイライラしたのもわかります。

もちろん、確かめようがなく、あくまでも私の想像に過ぎません。でも、「いくつになっても女は女」という言葉があるように、大家さんは束の間の男性との会話を楽しみにしているのかもしれません。怒られたのはショックでしたが、大家さんよりだいぶ年下の私にはそんな気力など沸かないので、むしろちょっとうらやましくも感じた出来事でした。

 (ファンファン公式ライター/tsukimi)

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