<幼稚園のランチ会が復活>コミュ障ママにとっては地獄のフルコース?! 

コロナ禍で中止されていた幼稚園のクラスランチ会が復活。喜んで参加するママたちがいる一方、コミュ障の私には想像以上の苦難が待ち受けていたのです。

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恐れていたランチ会が帰ってきた

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コロナで一時中止になっていた幼稚園のクラスランチ会。年に1~2回、顔合わせを兼ねて開催される恒例行事です。人見知りの私にとって、この会は苦痛でしかありませんでした。だからこそ、コロナ禍でランチ会が中止になったときは、正直ホッとしました。

しかし、コロナが落ち着くとランチ会も復活。開催のお知らせを受け取ったときはショックでしたが、「年に数回、顔合わせを兼ねる大事な場」と自分に言い聞かせ、割り切って参加することにしました。

まさかの中央席!?

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当日は「せめて端っこの目立たない席に」と、早めに会場入りした私。ところが、クラス委員さんが「普段話さない人とも交流できるように」と、席をくじ引きで決めるルールを用意していたのです。「余計なことを…」と、心の中で小さく毒づきました。

罪のないクラス委員さんに抱いた邪念にバチが当たったのか、私が引いたのはまさかの真ん中の席でした。見渡せば、周りは知らないママたちばかり。動揺を押し隠し、私は笑顔で挨拶をしました。

試されるコミュ力、すり減るメンタル

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とりあえず周りの会話に「へぇ~」「そうなんですね」と薄い笑顔で相槌を打ち、徹底的に目立たぬ姿勢を貫きました。少しずつ時間が過ぎ、終了時刻まで残り1時間。「あと少し!」と希望の光が見えた、そのときでした。
「では、ここから自己紹介タイムにしましょう!」クラス委員さんの一言で、目の前が真っ暗になりました。奈落の底に突き落とされた私をよそに、端の席のママがためらいもなく喋り始めました。順々に、まるで準備してきたかのようにスラスラと話すママたち。

しかも、自分の名前と子どものことをちょっと言う程度かと思いきや、小ネタを交えて笑いまで取っているのです。場を盛り上げ、拍手と笑いを浴びるママたちを見て、驚きと尊敬、焦りと絶望が交錯しました。そして、ついに私の番。真っ白な頭から出てきた言葉は自分でも全く想定外のものでした。

「えっと… 〇〇の母の〇〇です。… 辛い食べ物が… 好きです。よ、よろしくお願いします…」あんなに穏やかに流れていた空気が一瞬止まった気がしました。頬が熱くなり、心臓はドクドクと耳に響き、全身の毛穴から汗が噴き出すのを感じます。

なぜそんなことを言ってしまったのか、今でも謎ですが、とにかく自己紹介が終わったことに心底安堵しました。運ばれてきたデザートを手に取り、「これを食べたらもう帰れる!」と、かすかな希望を胸に感じたその瞬間、耳を疑う一声が飛び込んできました。

「次は“子育ての悩みシェア”をやりましょう!」その明るい声に、希望の残り火を一瞬で吹き飛ばされました。用紙とペンが一人ひとりに配られ、周りのママたちは「え~ どうしよう!」「悩み多すぎて書けない~」と笑い合いながらも、サラサラと記入しています。

一方の私は、再び奈落の底に叩き落とされていました。「悩み?あるに決まってる!でも、上手く話せる自信が1ミリもない!!」感情が入り乱れるなか、なんとか涼しい顔をよそおって、白紙のままそっと用紙を二つ折りにしました。「皆さん、書き終わりましたか?」の声に、私は周りも驚くほどの俊敏な動きで立ち上がりました。「私、集めますね!」用紙を回収しながら、自分の用紙はさりげなく鞄の中へ投げ入れました。

小さな一歩に自分で拍手

集められた用紙の中からいくつかが読み上げられ、会場は再び大盛り上がり。話の中心となるママは、悩みを披露しつつ、上手に場をまとめます。周りのママたちも絶妙なタイミングで笑いや相槌を入れ、その空気感に私はただただ圧倒されながらも、あの一瞬の判断で用紙を捨てたのは間違いなかったと確信しました。

ランチ会での私はほぼ会話ゼロでしたが、自分なりに頑張れたと思います。見事な話術を持つママたちと、予想以上に温かい場の雰囲気を知れた、これまでのランチ会にはない貴重な経験でした。

(ペンネーム/さち)

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