大切な人たちとの乾杯は、心が豊かに満たされます。しかし飲み方やルールを間違えれば、健康を損なったり、取り返しのつかない事故や事件を招いたりする危険性を伴っています。責任ある飲酒について、はぁとスペース理事長の山本美也子さんとキリンビール中四国・九州統括本部長の山本恭裕さんが話しました。
お酒の価値とリスクを知って正しく付き合う

―現在取り組んでいる活動について教えてください。
山本美 2011年から開始した全国の学校や企業などでの飲酒運転撲滅の講演は約1500回を数えます。私たちの世代はお酒についてきちんと学ぶ機会がなく、飲酒運転事故の被害者遺族になって初めて知ることばかりでした。子どもたちが大人になってお酒と上手に付き合えるように、講演ではアルコールの分解にかかる時間などお酒に関する正しい知識もお話ししています。

1993年キリンビール入社。2024年3月から現職。日本ソムリエ協会認定ソムリエ
山本 キリンビールは酒類を扱う企業の社会的責任として、アルコールの有害摂取根絶に向けた活動を推進しています。25年からは「DRINK FOR FUTURE -未来に向けた責任-」をスローガンに掲げ、「飲む人も飲まない人も、一緒に楽しめる乾杯を」「ほどよいペースで、心地よい時を過ごせる一杯を」「一人ひとりに合った飲み方を」という三つの新しい飲み方を提案していきます。
山本美 お酒を造るキリンビールさんが率先して、お酒の価値とリスクを社会に発信してくださるのはとてもすてきなことです。ビール工場による飲酒運転根絶授業など若い人たちを対象にした取り組みも素晴らしく、これからはTPOに合わせてお酒を選び、責任ある行動を取れる大人が増えていくと思います。
山本 飲酒運転撲滅の啓発活動は私たちだけではなく、飲食店やお得意先とも協力し、一貫して訴えていきます。ノンアルコール飲料「キリン グリーンズフリー」は「飲酒運転をやめましょう」というところまで踏み込んだポスターを作製し、飲食店内への掲示を呼び掛けています。

数千年も続く飲酒文化次世代へつないでいく

福岡県飲酒運転撲滅活動アドバイザー、看護師、障がい者スポーツ指導員
―活動を通して、社会の変化を感じますか。
山本美 日常の中で、飲酒運転を「通報した」と聞くようになりました。飲酒運転の通報が義務化され、「見逃したらいかんよね」という意識が広がってきています。
山本 昔の飲み会は “全員ビール”がお決まりでしたが、今は「アルコールが飲めないのでソフトドリンク」「ハイボールにします」とさまざま。ニーズが多様化しています。

山本美 飲み会で「翌日に予定があるからノンアルコール」「今日はたくさん飲むから明日は絶対に車を運転しない」といった会話が交わされるのも大きな変化だと思います。
山本 お酒は正しく飲めば人と人をつなぎ、絆を育む素晴らしいコミュニケーションツールです。私たちは数千年も前から受け継がれてきた飲酒文化を未来永劫残していきたいと願っています。これからもアルコール関連問題の解決に取り組み、次世代にお酒の文化を継承していきます。
アルコールの有害摂取根絶に取り組むキリングループ
■「STOP!!飲酒運転」自動販売機を全国各地に設置

キリンビバレッジ西日本統括本部(福岡市)とキリンビバックス(広島市)は、はぁとスペースの飲酒運転撲滅活動を支援する自動販売機を全国各地に設置しています。2012年に1号機が設置されて以降、現在は225台※に。売り上げの一部ははぁとスペースに寄付され、12年から実施している講演を聴いた学生にステッカーを寄贈するプロジェクトのステッカー制作費をはじめ、飲酒運転撲滅のためのさまざまな活動に充てられています。
※2025年6月末時点
■高校生480人に飲酒運転根絶授業朝倉警察署と連携

キリンビール福岡工場(福岡県朝倉市)は、7月17日に福岡県立朝倉東高等学校で飲酒運転根絶授業を実施しました。事前調査では海の中道大橋飲酒運転事故を知らない生徒が7割以上でしたが、事故の悲惨さを実感し、「同じ過ちを繰り返さない」との思いを共有。「見かけたら通報する」「家族や身近な大人に注意喚起をする」などの声が聞かれました。
■オーリックと共同でサンプリング適正飲酒呼び掛け

福岡市内で5月に開催したイベントで、業務用の酒類を販売、配達するオーリック(福岡市)とともに適正飲酒や飲酒運転の根絶を呼び掛けました。“ノンアルで、飲酒運転ゼロのうれしい世界”を目指す「キリン グリーンズフリー」を来場者に無料サンプリングした他、会場ではトークショーも開催しました。


