38年前”伝説の”野外ライブで夜明かししました ~久留仁譲二の小市民だより~

 すさまじい暑さが続いてます。今年も夏フェスはにぎわっているのでしょうか。そういうイベントに出かける体力も気力も残っていない64歳の私ですが、まだ26歳だった1987年(昭和で言うと62年)の8月22日から23日にかけて、遠く熊本県阿蘇郡久木野村(現南阿蘇村)で”すごい”野外コンサートを体験しました。

現在のアスペクタ南阿蘇の野外ステージ(無料素材からいただきました)
目次

錚々たる出演者たち

 「BEAT CHILD(ビートチャイルド)」というタイトルのそのイベントは、当時活躍していた人気のロック歌手、バンドはほとんど出ていると言っても言い過ぎでないような豪華な顔ぶれでした。

 ハウンドドッグ、ブルーハーツ、BOφWY、尾崎豊、ストリート・スライダーズ、渡辺美里、岡村靖幸、レッド・ウォリアーズなどなど。トリが佐野元春でした。サザンオールスターズは出てませんね。なんとなく「ロックバンド」にしてはお茶の間、大衆的なイメージがありますもんね。

 そんなすごいメンバーがこぞって出るのに前売り券は4500円。私の好きな人たちがいっぱい出るので迷わず買いました。その頃実家で一緒に居た弟と中学生の妹とその友だちの4人で行くことにしました。もう時効だと思いますが、夜通しのライブなので、18歳未満の入場は禁止となっていました。実際ノーチェックというか、あの山の中、7万人以上が来たら当時の技術ではチェック不可能だったでしょう。

遅れて到着

 当時は夏といえど今の暑さとは比べものにならなくて、盆過ぎるとちょっとしのぎやすくなってました。まして、阿蘇の山の上なので、そんなに暑くてたまらんみたいな思いはしませんでした。ていうか、思いのほか福岡市早良区からの道のりは遠く、着いたのは日が暮れかかる頃。ブルーハーツなどの出番は終わってました。確か、広石武彦いう北九州出身の人がボーカルのUP-BEAT(アップビート)というバンドの演奏中に観客の中にもぐり込みました。夜の7時過ぎだったでしょうか。間違ってるかもしれません。

いきなりの大雨

 この日の天気予報はずっと晴れ、でした。

 ところが、

 よく覚えてませんが、多分8時過ぎ、急に雨が降り出しました。すぐやむかと思ってたら、逆にどんどん激しくなっていきます。

 BOφWYの氷室京介が歌うときは、髪ビショビショに濡れてたような記憶が。「もうじき27歳になるんだけど」と言ってました。それから間もなく解散しましたねえ。

 尾崎豊と岡村靖幸は肩組んで歌ってましたが、そのときは降ってたかなあ。

 とにかくもう、ザアザア降りの雨が勢いを落とすことなく容赦なく続き、観客を襲い続けます。当時は携帯電話なんてモノ持ってる人いませんでしたが、持ってたら間違いなくダメになってたでしょうね。

耐えに耐えた約10時間

 8月とはいえ、もう寒い寒い。いやもう寒いなんてもんじゃない。気持ち的には「極寒」です。ライブなんか見てる場合じゃないんですが、もうどうしようもない。他に何も出来ないから、逆にステージに集中して気を紛らすしかなかったという実感です。

 「これを朝の6時頃まで耐えるのか」、時々絶望的な気分になります。からだはビショビショ、足元はドロドロ、ステージも機材がやられたりして・・・。

 それでも、雨に耐え続けた約10時間。無限とまでは感じなかったのは、とにかくライブ演奏をやってたからでしょうか。

”持っていた”佐野元春

 最後に佐野元春が出てきたとき、あたりは暗いままですが、「何とか乗り切った」という安堵感は少し出てきました。

 そして、あら不思議。佐野さんが歌っていると、空が白み始めるのと合わせて、少しずつ雨が弱くなっていくではありませんか。10曲歌い終わる頃には、完全に降りやみ、明るくなり、まるではかったように感動的な演出のようでした。

 ところで、佐野さん以前NHKの「あさイチ」に出演されてましたね。なんか以前より自然体でカッコよくなられてました。

 そのとき思ったんですが、そのうち「ファミリーヒストリー」に登場するんじゃないでしょうか。父上とか母上の古い写真を入手してたので、もしかしたらそうなのではと。

ああ、終わった

 「風邪ひいたらいかん」と思い、気を張ってずっと立っていましたが、もうヘトヘトの状態で、なんとかコンサートは終わりました。 

 グチャグチャの道ともいえない道を足を引きずりながら、ゾロゾロノロノロとけっこう遠い車を停めている場所までたどり着き、濡れて汚い恰好のまま福岡まで戻りました。

 それにしても、今だったらあんな豪雨の中の徹夜コンサート出来ないでしょうし、始まってもすぐ中止でしょう。知らなかったけど、具合が悪くなって搬送された人はけっこういたようだし(当然ですね)、重病人や亡くなる方がいなかったことが奇跡的ともいえます。たとえば、がけ崩れとか大災害の可能性もあるわけですから、もう二度と誰もできない経験です。「もう一回行くか?」と言われたら即断りますが、相当思い出に残る経験になったことは間違いありません。

出演者うらやましい

 このビートチャイルドの映像は2013年に「ベイビー 大丈夫かっ」という記録映画で公開されましたが、DVDとかになってなくて、見ることができません。大丈夫かっ、てきかれたら「全然大丈夫じゃありませんでした」と即答したいところです。

 その中で楽屋の光景など出てくるんですが、なんか私たち観客はずっとずぶ濡れで過ごしてたので、演者のみなさんもその体験を共有している錯覚にとらわれてましたが、演奏しているのは一組長くて1時間半。あとは屋根のある楽屋で過ごしたり、快適なホテルに戻ったりで、「うらやましいぞ、この野郎」ってことに今さら気づかされました。まあ、演奏中も機材に気を配ったり、感電の恐れがあったりと大変ですが。

 あと、ウィキペディアに書いてますが、大友康平さんはスタッフと一緒に体調悪くて運ばれてきたお客さんにお茶やタオルを配っていたとのことです。立派です。

 主催者の一つであった呼び屋さん「くすミュージック」。1980年代前半、福岡で私が行ったコンサートはほとんどくすさんのチケットだったような気がします。最近はイベント告知を見かける機会が少なくなりましたが。

 もう夏フェスはあらかた終わったのかもしれませんが、これから行かれるみなさんは、雷などお気をつけてお過ごし下さい。

記事をシェアする

※この記事内容は公開日時点での情報です。

プロフィール

久留仁譲二のアバター
久留仁譲二

米国の本家と同い年のシニアブロガー。毎晩長いときは30分に及ぶ歯磨きを欠かさない。最近覚えたメルカリへの出品にはまっている。
17年乗った作業用の軽トラックをカッコいいカーキ色の新車に買い替えた。

タグ

フリーワード検索

目次