【実話怪談】深夜の貯水池で見た白い親子。その後、写真に起きたのは…

ある夏の夜、地元で久しぶりに集まった中学時代の友人たち。
楽しい再会の後、1枚の写真をめぐって、思いもよらぬ出来事が始まりました。

深夜に現れた白い服の母子、撤去されたはずの飛び出し注意の看板、そして写るはずのないものが記録されたデジタルカメラ。なぜあの夜の写真だけ、送られてこなかったのか。

目次

友人との同窓会で

写真AC

社会人になって7年目の夏、地元K市で中学時代の友人5人と久しぶりに再会した。

居酒屋での近況報告から始まり、たわいもない笑い話に花が咲くと、勢いそのままに二次会のカラオケへと流れ込んだ。翌日が仕事だったため、一人だけ先に帰ることにし、最終のJRで帰路についた。

数日後、幹事だったUから写真が送られてきた。
一次会と二次会の写真には皆がはしゃぐ様子が写っていたが、話に聞いていたTの家での様子がどこにもない。

「Tの家での写真も見たいな」
そうメールを返すと、Uから電話がかかってきた。

「ちょっと話したいことがある。週末、そっちに行くから会えないか」

そうして会った喫茶店で、Uは静かに語り始めた。

撤去されたはずの看板

カラオケの後、皆はTの家に移動した。 怪談話に花が咲いた深夜、Tが語り出したのは最近の体験談だった。

「怪談じゃないけど、1カ月くらい前にA貯水池のそばを車で通ったとき、カーブの向こうから子どもが飛び出してきてさ。思わずハンドル切って避けたんだ。降りて確認したら、子ども型の『飛び出し注意』の看板だった。マジでビビった」

一見、よくある話だったが、Uだけは表情を曇らせた。

「……その看板、もうないはずだよ」

Uは7年前、その看板撤去の仕事に関わっていたのだ。 「間違いない。撤去済みだよ」と主張しても、皆は「またまた〜」と軽く流す。

それなら確認に行こう、という流れになり、深夜にもかかわらずTの車でA貯水池へ向かうことになった。

深夜の橋にいたもの

写真AC

現地に到着し、件のカーブを確認したが、やはり看板はなかった。 Uの話が正しかった。

帰り道、道幅の都合で少し先の公園の駐車場で車を回すことに。 その瞬間、Tが急に気分が悪くなり、車外で嘔吐してしまう。皆で背中をさすったり片付けをしていると、Uが何かの気配に気づいた。

「……あれ、見えるか?」

橋の上を歩く白い服の母子。
しかも母親は、深夜だというのに日傘を差していた。

その異様な姿に皆が声を失う。 「早く帰ろう!」と車に飛び乗る中、Uは咄嗟に母子の方へカメラを向け、シャッターを切った。

写真に残らなかった母子

写真AC

始発が動き始めた頃、Tの家に戻ってみんなで記念写真を撮って解散した。

その後、Uが送る写真を整理していると異変に気づく。 母子を撮影した写真には、ぐにゃぐにゃした光の帯しか写っていない。 さらにTの家で撮った写真にも、すべて同じような歪んだ光が入り込んでいた。

「気味が悪くて…全部削除したんだ」 それが、写真が送られてこなかった理由だった。

「その後、カメラは?」

「怖くて触れていない。君のおばあさん、こういう話に詳しかったんじゃなかったか?」

Uの願いを受け、祖母に電話で事情を話した。
翌日、祖母から「話は通しておいた。そのカメラを今から言うお寺に送るように」との連絡があり、そのままUに伝えた。

現在のA貯水池は…

それからというもの、A貯水池周辺では不審火や陰惨な事件が続いた。
今では廃虚が点在し、全国的にも知られる怪奇スポットになってしまった。

イニシャルを使ってはいるが、地元の人なら「あそこだな」と察しがつくだろう。

ちなみに、あのときの友人たちは皆、今も元気にしている。

(ファンファン福岡公式ライター/チョコ太郎)
※本記事は、ファンファン福岡に掲載された公式ライター・チョコ太郎の連載「祖母が語った不思議な話」で過去掲載された記事を、再構成・再編集したものです。

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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