夏だ! 海だ! プールだ! そんな浮かれ気分の小学生だった私。幼馴染と行ったプールでまさか怪我をするとは考えもしませんでした…。
準備万端! いざ入水

忘れもしない、あれは小学4年生の夏休みのことです。幼馴染であるAちゃんとBちゃんと、Aちゃんママの車で大きなプールに連れて行ってもらうことになりました。道中の車内は大盛り上がり、プールであれをしようこれをしようと計画を立てました。
プールへ到着、支度を済ませ更衣室から出ました。眩しい日差し、ジリジリと熱い地面、汗をかきながら浴びるシャワーは冷たく、思わずキャー! と叫びながら通り抜けます。荷物をシートに置いたらAちゃんママは荷物番。子ども達でいざ入水。あれだけ暑いはずなのに水の中はひんやりとしています。
頭を切り病院へ
しばらくウォータースライダーや波のプールを楽しんだ後、一番大きい流れるプールに入りました。3人で鬼ごっこをしたり流れに逆らってみたり、小学生らしい遊びを楽しんでいた時のことです。
「あそこに島がある!」とBちゃん。顔を上げると流れるプールの中の数メートル先に、島のようなオブジェがありました。
「よし! 島で休憩しよう」3人は一斉に島に登り始めました。島にはポールが5つ、バラバラに並んで立っています。「よし! てっぺんに到着したぞー!」と私が両手を上げた時でした。
「あっ」
足を滑らせポールに頭を打ったのです。ポールはゴーンと鈍い音を響かせて私は水に落ちました。幸い意識を失うようなことはなく、近くのプールサイドへ自力で上がります。
「大丈夫?! 意識ある?!」
「ママー! もずくちゃんがケガしたー!!」
「監視員さーん!」様々な心配の声が耳に入りながら、私は恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。
Aちゃんママと監視員さんがすぐに駆け寄ってくれ、医務室へ運ばれました。途中、傷を押さえていた手に血がついているのを見てじわじわ痛みを実感しつつ「これは大変なことになったぞ」と青ざめました。頭を診てもらうと左後ろ側が2センチほどぱっくり切れているとのこと。念のため脳神経外科で診てもらった方がいいと言われ、楽しいプールは一転、みんなで急いで病院へ向かうことに。
「本当にごめんねええ」
「私もふざけすぎたよ…」
「大丈夫大丈夫! また行こうね!」そんな会話をAちゃんやBちゃんと交わしながら、20分ほど車に揺られ病院へ到着しました。
頭にホチキス

受付で事情を説明するとすぐに診察してもらうことに。田舎の小さな脳神経外科で、年配の先生が私の頭を診察しました。
「そうだね〜 このくらいの傷なら脳にダメージはなさそうだけど、一応しばらくは様子見てね」と言いながら何かを看護師さんに持ってくるよう指示します。
私はホッとしてもう終わりかと思ったのも束の間、看護師さんが持ってきたものにギョッとしました。それはまるで巨大なホチキス。これはもしや私の頭に打ち付けるのか? と怯えた時でした。
「消毒して〜 はーい横向いて〜」と先生が流れるように喋りながら私の頭にバチン! と巨大ホチキスを打ち込んだのです。
「いで!!」と急な痛みに思わず声が出ます。私の頭にはホチキスの芯そのもののような金具がつきました。
大人になって知りましたが、スキンステープラーという機械で治療してもらったそうで。そんなことを知りもせず、わが家では「頭ホチキス」と呼んでいました。後日、金具を取ってもらうとすっかり傷は塞がっていました。
しかし今でも髪をかき分けると傷の部分は髪の毛が生えておらず、傷跡がわかりやすく残っています。夏のプールは何歳になっても気持ちがあがりますが、どうか落ち着いて! 怪我をして頭にホチキスをすることのないように!
(ファンファン福岡公式ライター/「もずく」)


