娘が小学1年生だったころ、夏休みの宿題としてアサガオを観察し、日記を書くように言われました。一般的にはよくある宿題だと思いますが、わが家にとっては大ピンチで…。
夏休み目前の大ピンチ

夏休み直前、娘が学校からアサガオの鉢と観察用のプリントを持ち帰ってきました。プリントには「よく観察して日記を書きましょう」とあります。しかし、私はあることに気づいて青ざめました。わが家は夏休みに1カ月近く実家に帰省する予定だったのです。
「アサガオの観察、どうしよう…」娘に伝えると、「えーっ」と顔を曇らせました。夫は単身赴任中。近所に水やりをお願いできる知り合いもおらず、頼れるママ友もいません。はじめは「もう、あきらめるしかないかな」と思っていました。
生花用の段ボールで郵送

さらに困ったことに、夏休み終了後にはこの鉢を学校へ持ち戻り、種の収穫まで行うことになっていました。「娘だけ枯れた鉢を持って行くのはかわいそう」途方に暮れていたとき、ふと思い出したのが母の日や敬老の日に生花を贈った経験。
「自分でも送れるんじゃない?」調べてみると、生花用の段ボールを使えば、宅配で植物も送れるとわかりました。「これしかない!」と決意し、さっそく生花用段ボールをネットで注文。
支柱を外した鉢の土の上に新聞紙を敷いてこぼれないようにし、ビニールで包み、土台に固定。丁寧に専用段ボールへ梱包し、「よろしくお願いします」と宅配業者に託しました。ちょっとドキドキしました。
実家でアサガオ観察

私たちが帰省した翌日、アサガオは無事に実家へ届きました。娘と一緒に急いで箱を開けると、関東から九州という長旅の影響か少し元気がありませんでしたが、枯れてはいなかったのでひと安心。娘も「よかったぁ」と笑顔に。
そして実家で、さらに驚くことがありました。なんと、両親が万が一に備えてアサガオを種から育ててくれていたのです。
「万が一枯れていたらいけないから、育てておいたよ」
実家のアサガオは種まきの時期が遅く、小ぶりではありましたが、しっかり育っていました。その気持ちがとてもうれしくて、2つの鉢を並べて育てることにしました。娘も
「ほんとに? ありがとう!」と目を輝かせていました。それからは毎日、実家の庭でアサガオの観察や水やりをするのが日課に。
「また新しいつぼみがふくらんでるよ!」
「私のアサガオはむらさきだけど、じいじたちのは青だね」
台風が来て吹き飛ばされそうになったり、水をあげすぎそうになったり、ハプニングもありましたが、家族みんなで見守る大切な時間となりました。
アサガオが教えてくれた家族の絆
帰省の終わりには、行きと同じようにアサガオを梱包して自宅へ送りました。夏休みにたくさんの花を咲かせたアサガオには、いつの間にか種の袋ができていました。夏休み明けの登校日、娘と一緒にアサガオの鉢を学校へ持参しました。
「みんなもまだアサガオが咲いていたし、観察日記も提出していたよ」娘がうれしそうに話してくれました。ピンチから始まったこの夏休みでしたが、何とか乗り越え、アサガオの観察をがんばった日々。最悪ネットで情報を調べて済ませようかとも思いましたが、やはり本物の経験に勝るものはありません。
そして、実家の両親の優しさにも助けられていたことに気づき、「諦めなくてよかった」と心から思える夏になりました。
(ファンファン福岡公式ライター/しらたま)


