「保育園行かない!」から始まる登園拒否。あの手この手で玄関まで向かわせ、玄関からようやく出るも、今度は歩かない息子。最終手段はやっぱり抱っこ。しかも、暴れる息子は“マグロ”のように担ぐしかありません。徒歩15分の道のりが遠い…。いつになったら登園拒否が終わるのでしょうか?
「今日保育園おやすみ?」から始まる朝
わが家には3人の息子がいます。長男も二男もひどい登園拒否でしたが三男もやはり…。入園から1年経ち、年少になっても登園拒否が続いています。上の2人は幼稚園に通っていたため園バスを利用していましたが、三男はバスのない保育園なので歩いて登園しています。
朝、目が覚めると一言目はいつも同じです。
「今日保育園おやすみ?」その質問がくると私はギクリ。
「お休みじゃないよ、保育園行くよ」
そう答えた瞬間から三男の「行かない!」が始まります。
なだめすかして気分は執事

「とりあえずご飯を食べよう」と食べるのが大好きな三男を食卓に座らせ、機嫌を損ねないよう注意しながら声をかけます。
「ご飯、パン、シリアルもあるしバナナもあるよ? 皮むく? 自分でむきたい?」と私はまるで執事のよう。
「お外はいい天気だね~」「お花咲いてるかな~」などと、保育園までの道のりを明るいイメージに塗り替える努力も欠かせません。その甲斐もあってか、三男もしぶしぶ玄関まで足を運びます。ここまではいつもなんとなくうまくいく段階。ところが問題はここからなのです。
「おにぎりの靴下がよかった!」
いよいよ玄関で靴下を履こうとした瞬間から始まる「あれがよかった」という要求。もちろんこれは「保育園行かない」の裏返し。たとえおにぎりの靴下が用意してあろうとも今度は「長靴がよかった」などと言い出すのです。私もニコニコしているようでいて、内心ではイライラが募っていきます。だって、人間ですから。
泣いて座り込む息子、ついに“マグロ担ぎ”決行へ!

三男の要求をなだめすかして、ようやく玄関から出ることに成功し、安堵したのもつかの間。今度は歩きません。アスファルトに座り込んで一歩も歩く気がないのです。手をつないで引っぱりあげてもびくともしません。
体中から「保育園には行かない」という強い意志を感じます。しかしそうも言っていられません。行ってもらわなくちゃ、仕事が待っているこちらも困ります。自転車を持ち合わせていない私に残された道は、ただ一つ。持ち上げるのみです。
「どっこいしょー!」と三男を持ちあげます。持ち方としてはまるでマグロの持ち方。「行きたくない!」とドタバタと暴れる息子を両手で抱きかかえ、一歩、また一歩と歩みを進めます。ところが、ものの5分で二の腕と肘の関節が悲鳴をあげはじめました。いったん地面に降ろしてみるものの、三男はまだ「行かない~」とアスファルトに座り込んで泣き続けています。
「よーいドン!」と言ってみても無視され、「あそこにワンワンがいるよ!」と言ってみても知らんぷり。指をさされた散歩中の飼い主は気まずそうに私たちの横を通り抜けます。すれ違う人々からの視線に、朝からうるさいなぁと思われているんじゃないかと、泣きたい気持ちをこらえます。
保育園までは普通に歩いても15分。三男を抱えて行くのなら、まだ10分以上は歩かなくてはなりません。 中途半端に進んでしまったせいで、近くまで車で行くという必殺技も消え失せました。もう、進むしかないのです。
泣き続ける三男を再び持ち上げ、マグロの持ち方で歩きます。抱っこやおんぶならまだ楽なのですが、保育園に行きたくない三男は私につかまる気がありません。
「明日は歩いて行けるよ」その言葉を信じたい

降ろしては担ぎ、担いでは降ろし、時折手をブルブルと振りながらようやく到着した保育園。玄関扉を開けた時には、親子共に髪はボロボロ、涙で顔はぐしゃぐしゃ。腕はパンパンで服もよれよれです。
こんな朝を、ほとんど毎日のように続けています。だって帰り際には「明日は保育園歩いて行けるよ! はやく行きたいな!」なんて言うものですから。
その言葉が本当になる日を願って、今日も私は三男を担いで保育園へと向かうのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/本田 すのう)


