これは私が第1子を妊娠している時のお話です。初めての妊娠でドキドキな毎日を過ごす中、ついに産休へ。主人とお休みがあったので、京都へお花見に行きました。コロナ前ということもあり、公園はたくさんの人で大賑わい。そこで起きた、心がほっこりあたたまるお話をしたいと思います。
臨月のお腹でお花見会場へ

時期は春、桜が満開の季節。京都が好きな私は
「お花見をしに行こう! どうせ行くなら大好きな京都でお花見がしたい!」と主人におねだり。
「いいね! おれもお花見したい!」と快く返事をもらい、少し足を伸ばし京都へ行きました。車で約1時間ほどで京都につき、早速桜で有名な公園へ向かいました。
コロナ前ということもあり、公園は大賑わいでした。公園に到着したのがお昼過ぎだったので、「お昼ご飯もかねて、屋台でたこ焼きでも買ってそこのイートインスペースで食べようか」という話になり、たこ焼きを買ってイートインスペースへ入りました。ただ、そこのイートインスペースは喫煙可だったのです。
喫煙中のカップルが

たこ焼きの美味しそうな匂いを嗅ぎながら「あ~早く食べたい!」と思いつつ、イートインスペースに入ると、まさに今からたばこを吸おうとしている1人の20代後半の男性がいました。厳密に言うと、カップルの彼氏さんが吸おうとしていました。
立ち位置的には彼氏さんがイートインスペースの出入り口側が見える位置、彼女さんは出入り口に背を向けて座っていました。その彼氏さんがお腹が大きい私を見るなり、火をつけたばかりのたばこをジュッとすぐに消して「よし! じゃあいこっか!」と彼女さんに声をかけてくれました。
彼女さんは位置的に私が見えていないので
「え? 今つけたばっかりやん。ゆっくり吸っていいよ」と返事。それに対して彼氏さんが
「妊婦さんおるのにあかんやろ」と小さな声で言ってくれたのです。
彼氏さんの神対応

その言葉をかけられた彼女さんは私の方をバッと見て、すぐにまた彼氏さんの方を見返し
「え… めっちゃかっこいい…」と惚れ直した様子でした。誰が見てもわかるくらいに目がハートになっていた彼女さん。
ちょうど私たちの横を通り過ぎる時に、私が
「気を使わせてしまってすみません」と言うと、
「いやいや当たり前のことなんで」と言ってくれました。
それを後ろで聞いていた彼女さんの反応は、
「えー! もうめっちゃかっこいい!!」と大騒ぎ状態。
彼女さんが惚れ直した様子をみて、そのイートインスペースに残された人たちはほっこりとした空間になりました。私も「喫煙可やったから申し訳なかったな」という気持ちと裏腹に、「でもあのカップルの愛がより深まったなら良かったかな」とも思いました。
そんな中、天然な主人は
「え? 何があったん?」と聞いてくる鈍感さ…。あんたずっと隣におったやないかい! と突っ込まずにはいられませんでした。
彼氏さんの行動はイートインスペースにいた人たちの心をあたためたと同時に、お腹の中にいた赤ちゃんにもその優しさがきっと伝わっていたと思います。あのカップルが結婚してたらいいなぁと思う、妊娠中にほっこりした話でした。
(ファンファン福岡公式ライター/谷野さおり)


