「大切な人の出産祝いには、心から喜んでもらえるものを贈りたい」と思った私は、高級ブランドのベビーギフトを選びました。しかしその想いは打ち砕かれることになるのです。
奮発した出産祝い

贈った相手は、学生時代からの友人。社会人になってからもよくメッセージを送り合うような仲で、友人が結婚してからも年に数回はランチに行く関係でした。
彼女に第1子が生まれると聞いたとき、私まで胸が熱くなりました。「出産祝い、何がいいかな?」とワクワクしながら選んだのは、某高級ブランドのベビー用ギフトセット。価格もそれなりでしたが、「特別な贈り物にしたい」という気持ちから、迷わず購入しました。
渡したとき、彼女は満面の笑みで
「ありがとう! 自分じゃ買えないから嬉しい!」と喜んでくれました。その瞬間、心から贈ってよかったと思いました。
徐々に減る連絡

出産後から少しずつ彼女とのやり取りが減っていきました。LINEは返ってきても絵文字のない短文、SNSの投稿も育児中心になっていきました。
私は「子育てが忙しいんだな」と思っていましたが、ある日共通の友人がこんなことを言いました。
「○○ちゃん、ママ友できて毎日LINEしてるみたいよ。」
それを聞いて、何とも言えない気持ちになりました。
彼女が今一番必要としているのは、子育ての悩みを共感し合えるママ友で、子どもがいない私とは少し距離ができてしまったのかもしれません。そう気づいたとき、自分の中で納得と寂しさが交錯しました。過去の友達になってしまったような感覚が、どこか切なかったです。
フリマアプリで発見

その日、私はなんとなくフリマアプリを見ていました。人気カテゴリーの「ベビー用品」を開いたとき、目に飛び込んできたのは、あのギフトセットでした。
ブランド名、色、組み合わせ、限定デザイン… 間違いなく私が選んだもの。出品者の名前は知らないものでしたが、説明文には「新品・未使用」「頂き物ですが使わなかったので」とあり、写真の背景にはどこか見覚えのあるリビングの雰囲気。
まさかとは思いたくなかったけれど、確信がありました。ラッピングに付けたリボンの色さえ、そのままだったのです。胸の奥がスッと冷えて、息が詰まるような感覚がしました。
あんなに悩んで選んだ贈り物が、半年後には誰かの手に渡ろうとしている。一言の断りも、何の説明もなく。それが、ただただ悲しかったのです。
裏切られた気持ち
私はその出品を黙ってスルーし、連絡もしませんでした。「子育て、大変だからね」と自分に言い聞かせる一方で、「一言くらいは言ってほしかった」という気持ちは消えませんでした。
私は贈り物に自分の気持ちを込めましたが、彼女にとっては、ただのモノだったのかもしれません。使わないものを手放すのは、間違いじゃない。だけど、友人からのギフトを転売するという選択には、やっぱり少しの配慮が欲しかった。
「子どもができたら付き合う人も変わる」そんな言葉を聞いたことがありましたが、こういう形で現実になるなんて、想像していませんでした。
贈り物は慎重に

この経験を通して思ったのは、贈り物って、やっぱり相手を見て選ぶものだということです。物の価値ではなく、相手との関係性を踏まえて、「本当にその人の心に届くかどうか」を考える必要がある。今後、私は高価なギフトよりも、手紙や相手の生活に寄り添った贈り物を大切にしていこうと学びました。
贈り物に込める想いが無視されるものにならないように、そして、自分自身が傷つかないように。そう心に決めた出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/ぴち)


