入学式の華やかな余韻も束の間、教室に重苦しい空気が流れました。始まったのは、PTAの役員決め。「全員決まるまで帰れません」という非情な宣言のみならず、さらには名指しの指名まで始まり、追い詰められていく保護者たち。絶望的な状況を一変させた、驚きの展開とは?
公立小学校でのごく普通の入学式

娘が入学したのは近所の公立小学校でした。特に悪い噂もなく安心していたのですが、ただ一つだけ、ママ友から「PTA活動がちょっと活発すぎるのよね」という噂は聞いていました。
何事もなく終わった入学式後に予定されていたのは、「保護者説明会」。子どもたちは父親と共に家に帰るか、学童に行くかのどちらかでした。
説明会自体は担任の自己紹介や持ち物の説明、1年生のあるある話などでほっこりとした雰囲気。終わりかなと思った矢先に先生から「それではここからはPTAの皆さんからのお話です」と告げられました。
教室に現れた仏頂面の役員2人
教室の扉を「ガラガラッ」と勢いよく開けて入ってきたのは2人のPTAの役員を務める女性。入れ違いに退室する先生方の申し訳なさそうな、おびえるような表情を私は見逃しませんでした。そして、教壇の前に立った2人はこう告げたのです。
「これからPTAの役員を決めます。すべての役が決まるまで皆さん帰れませんのでご協力をお願いします」
「シーン」と静まり返る教室の中で説明が始まりました。「本部役員は5点」「クラス役員は3点」「行事手伝い2点」…。6年間で10点を貯めるのが最低ラインで、今まで免除された人はいないと告げられました。
逃げ場のない「名指し」の追及
35人学級に対して役は23個もあり、訳知り顔で複数立候補するツワモノはいるものの、多くの役は埋まらないまま。「早く帰りたいのに」と焦りは募るばかりです。
すると、「Aさん、●●●幼稚園よね?専業主婦なら時間の融通利くんじゃないの?」と名指しするようになりました。これには恐怖を感じました。
ついに私の番です。「ルンルンさん、家で仕事しているらしいですね。会社に通勤している人の代わりにどうですか?」と言われ、驚きました。話したこともない人なのに誰から聞いたんだろうとさらに恐怖が増しました。
助けてくれたのは、なんと…!

PTA役員決めの会議は、すでに1時間半が経とうとしていました。教室内には諦めと怒りが混在した不穏な空気が漂っていましたが、宣言通り帰らせてくれることはありません。
その時です。廊下から「ちょっと待ってください!!今、大事な会議中です!お待ちください!!」と女性の慌てふためく声が聞こえてきました。「ガラガラッ!ピシャッ!」勢いよく開いた扉の先にいたのは、わが夫でした。
続いてゾロゾロと各家庭の夫たちが入ってきたのです。
「帰るぞ。こんなやり方は許しちゃだめだ」
後で聞いた話では、あまりにも帰りが遅い私を心配した夫が学校をのぞきに来たところ、同じように校門前でウロウロする父親たちに出会ったとのことでした。その中の一人が妻からのSOSのメールを受け取っていて状況が分かり、現場にいた夫たちの総意で突破をしてきたということでした。
もし、この勇敢な強行突破がなければまもなく心折れ、役員になっていたかもしれません。私は涙ながらに夫に感謝しました。
変わりゆくPTA
その後、バカバカしいこの制度に憤慨した保護者たちが立候補し、会長はじめ主要役職を独占。誰も存続を望んでいない組織は2年後には解体。現在は希望者のみ参加する100%ボランティアの「学校お手伝い」へと変貌を遂げています。
(ファンファン福岡公式ライター/ルンルン)





