4歳の息子はピンク色が好きな男の子です。4つ上に姉がいるものの、ピンクよりモノトーンのかっこいい系が好きな子で、家族の中には息子以外、ピンクを好きな人がいません。だからこそ、自分の意志で「この色が好き!」と言っている感じがまた良く、私はそんな息子の感性がとても好きでした。
ピンクが好きな息子vs園長先生

家の中で息子のピンク好きを否定したことはなく、ママ友たちも「いいね!」と言ってくれる温かい雰囲気でした。特に娘の友達のママは、娘の友達のおさがりを持ってきては、息子に「これ着る?」「このピンクの靴どう?」とすすめてくれて、息子はとてもうれしそうでした。
しかし、そんな息子の周りにも1人だけ、ピンク好きを否定してくる人が。それが幼稚園の園長先生です。幼稚園の他の先生たちは「今日もピンク似合ってるね!」と言ってくれるのですが、女性の園長先生は昔からの考え方が強い方。しかめっ面で息子を見て「女の子みたいだねぇ」とことあるごとに言ってくるので、私はいつもモヤモヤしていました。
息子自身は園長先生の言葉の意図が良く分かっていないようで、「息子くんは男の子だよ!」と純粋な顔で返していました。私も毎回「本人が好きな色ですから」とささやかな抵抗をしていましたが、園長先生はいつもなんだか納得のいっていない顔。
痛快な娘の論破

そんなある日、小学生の娘が早帰りだったため娘を連れて息子をお迎えに行きました。
息子が出てくると、どこからともなく園長先生が現れて、
「またピンク?青とか着ないの?女の子になっちゃうよ」と苦笑いしながら言ったのです。またかと私がげんなりしていると、隣にいた娘が凛とした声で言いました。
「え、先生。色に性別はないって幼稚園で教わったよ」と娘。娘はまさに、この幼稚園の卒園生です。その娘の静かながら破壊力のあるド正論に、私は思わず心臓が跳ね上がりました。
言葉を失っている園長先生に娘はキラキラした目で続けます。
「しかもね、知ってる?昔のアメリカではピンクが男の子の色で、青が女の子の色だったんだよ!赤が戦う色で、そこからきたピンクは男の子なんだって!それでね…!」と園長先生に教え始めたのです。
娘は本が好きで、特に歴史や化学のマンガが大好き。家にいても隙あらば本を読んでいるので、いろいろなことをどんどん覚えていきます。確かに「色と性別」をテーマに書かれた本を見つけたとき、娘は喜びながら、「やっぱり!ピンクが好きな息子くんもいいんだね!」と話してくれました。そこで私と夫は娘に「昔はピンクが男の子、青が女の子だった地域もあったみたいでね…」と話をしたことがありました。
小さくなった園長先生の背中

最後に娘は「漫画に描いてあったんだけど、図書館で借りたやつなんだよなー。今度園長先生も借りてみたらいいよ!」と言い放ちました。娘の一生懸命で無邪気な説明に、園長先生は心なしか小さくなっているような様子。
その場にいた他の先生は、「娘ちゃんよく知っているね~」「お姉ちゃん物知りなんだね」と、何とか園長先生から注目をそらそうとしている様子。当の園長先生は、大勢の前で「勉強不足」を指摘され、「…じゃあ今度、同じ本借りてみようかなぁ」とだけ言って去っていきました。
その背中に追い打ちをかけるように「園長先生、さようならぁ!」と大きな声で言う息子。園長先生は「はい、さようなら」と何とか笑顔を返していました。
その帰り道、娘は「久しぶりに園長先生とお話しできて楽しかったぁ!」とのんきな感想。息子もそれにつられて「息子くんも園長先生好きだよ!遊んでくれるよ!」とのことでした。私は息子にチクチク言ってくる園長先生が苦手と思っていましたが、子どもたちにとってはそれすら小さなことだった様子。大人の凝り固まった常識を、子どもの純粋な言葉が鮮やかに打ち破ってくれた出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/K)





