「赤ちゃんが産まれたら会いに来るね」約束を果たした夜、認知症の祖母に起きた不思議な出来事

「赤ちゃんが産まれたら一緒に会いに来るね」当時入院していた祖母に、私はそう約束しました。約半年後、無事に出産を終え、その約束を果たすことができたのですが…その日の夜に起きたことは、私の中で忘れられない不思議な出来事として心に残っています。

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認知症のばあちゃん

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私の母方の祖母は8年程前から認知症になり、施設で暮らしていました。さらに体調を崩してからは病院に移り、だんだん眠っている時間が増えていったのです。

私は仕事や子育てに追われる日々で「落ち着いたら会いに行こう」と思いながら、なかなか病院へ足を運べずにいました。コロナ禍の影響で面会日や人数に制限があったのと、心のどこかに「認知症の影響で私のことを覚えていない」ということへの悲しみもあったのだと思います。

会えないことへの罪悪感はあったけれど、日常に流されるように時間だけが過ぎていきました。

次男妊娠とばあちゃんとの約束

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そんな中、次男の妊娠が分かり、迎えた春頃、久しぶりに母と長男と一緒に祖母の病室を訪ねました。祖母はベッドで眠っており、呼びかけても反応はありません。それでも私は祖母に話しかけました。

「夏に2人目が産まれるんだよ!産まれたら一緒に来るから待っていてね」
聞こえているのかは分かりません。ですが、子ども好きだった祖母。聞いたら喜ぶかなと思い伝えました。

それからしばらくして、無事に次男を出産しました。この頃、祖母は自力で食事が取れず、発熱を繰り返していると母から聞きました。医師にはいつ急変するか分からないと言われていましたが、発熱と解熱を繰り返しながらも、ずっと持ちこたえていたようです。

私は「早く会いに行きたい」と焦りながらも、産後すぐの次男を連れて行くこともできず、外出しても大丈夫な時期になるのを待つしかありませんでした。

次男を会わせたその夜に起きたこととは

出産から約2カ月後、ようやく次男を連れて会いに行くことができましたが、祖母は変わらず眠ったまま。偶然にも、看護師さんから今朝熱が下がったと聞きました。

私は次男を抱きながらベッドのそばに立ち、そっと声をかけました。
「ばあちゃん、赤ちゃん産まれたよ!ここにいるんだよ」

祖母はやはり眠ったまま。「伝わってないかもしれない、それでも赤ちゃんを連れてきたことにきっと意味がある」と自分に言い聞かせていました。

そして、その日の夜中に母から連絡がありました。
「ばあちゃんが息を引き取った」

びっくりして言葉を失いました。今朝会ったばかりで、熱も下がったのに…それなのに、赤ちゃんに会えたその日の夜に亡くなるなんて…。

待っていてくれてありがとう

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頭の中に浮かんだのは、春に会った時に祖母に投げかけた「赤ちゃんと会いに来るから待っていてね」という言葉。

もしかしたら祖母はその約束のために、私が来るのをずっと待っていてくれたのかもしれない。赤ちゃんに会うまで、必死に命を繋いでくれていたのかもしれない…そう思わずにはいられませんでした。

「ばあちゃん待たせてごめんね…待っていてくれてありがとう」心の中で何度もそう繰り返しました。ちゃんと約束を果たせてよかった。最後に赤ちゃんを見せられたことは、私にとっても、祖母にとっても、きっと意味のある時間だったのだと思います。

人生には、偶然とは思えない出来事があるのだと感じました。祖母が本当に待っていたのかは分かりません。でも私はそう信じています。あの日の出来事はこれからもずっと、私の中で大切な記憶として残り続けていくと思います。

(ファンファン福岡公式ライター/中島にーな)

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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