始業式の日、2年生になったばかりの娘が、玄関を開けるなり「すごい先生が来たの!」と興奮気味に帰ってきました。その表情はどこか不安げで、話を聞くと新任の先生の挨拶を“ある言葉通りに”受け取ってしまった様子。大人には当たり前の慣用句も、子どもにはまっすぐ届くもの。思わず笑ってしまった、春の日のほっこりする体験談をお伝えします。
小2娘が持ち帰った「衝撃のニュース」

春風が心地よい始業式の日。小学2年生になったばかりの娘が帰宅しました。玄関のドアがガチャッと開き、ランドセルを背負ったままリビングへ駆け込んできます。
「お母さん!今日ね、すごい先生が来たんだよ!」と、娘はただならぬ様子で興奮気味です。何事かと驚き、
「どんな先生が来たの?」と私は尋ねました。
新任教師に抱いた不安の正体

娘によると、始業式の全校集会で新任の先生たちの挨拶があったとのこと。娘が注目したのは、隣のクラスの担任になった大学を卒業したての若い女性の先生でした。
娘は真剣な顔つきで、
「あのね、右も左もわからない先生が来たの!」と声を潜めます。
「えっ?」と聞き返す私に、娘は不安そうな表情を浮かべていました。
「右も左もわからない」に隠された本当の意味

「挨拶でね、『右も左もわかりませんがよろしくお願いします!』って言ってたの!右と左がわからないのに、よく先生になれたよね?大丈夫かな?」と、身を乗り出して熱弁を振るう娘。
そのあまりにも真剣な眼差しと、「方向オンチの先生」を本気で心配する純粋さに、私は思わず「ぷっ」と吹き出し、お腹を押さえて笑ってしまいました。
新任の先生が緊張しながら使ったであろう「右も左もわかりませんが…」という謙遜の言葉を、8歳の娘は文字通り「左右の区別が全くつかない」と受け取ってしまったのです。
「先生、学校の中でトイレの場所とかわかるかな?教室に来れる?迷子にならないかな?」と、眉を八の字にして心配する姿は、まだ慣用句を知らない年齢ならではの最高に可愛い勘違いでした。
私は必死に笑いを堪えながら娘の肩に手を置き、しっかりと目線を合わせて
「それはね、右と左が本当にわからないわけじゃないんだよ」と優しく語りかけました。
「『この学校に初めて来たから、まだわからないことばかりでごめんなさい』っていう意味の、大人の丁寧な挨拶なんだよ。だから、先生が迷子になることは絶対にないから安心してね」と本当の意味をじっくり教えると、娘は「えっ、そうだったの?」と目を真ん丸にし、ポカンとした顔で私の説明を聞いていました。
言葉の面白さを学んだ春の一コマ

本当の意味を知った娘は、一瞬の沈黙のあと、
「あー、そうなんだねー!びっくりしたー!」と、ホッと胸を撫で下ろして大笑いしました。先生が学校の中で迷子になるわけではないとわかり、心底安心したようです。その素直な反応がなんとも可愛らしくて、私もつられて一緒になって笑い合いました。
大人が何気なく使う言葉も、子どもにはそのままの意味で届くことがあります。私はその純粋さに胸が温かくなりました。言葉の面白さと奥深さを、娘と一緒に学べた春の夕方。新学期の少し緊張した空気が、やさしい笑いに包まれた瞬間でした。
小2娘が新任の先生の挨拶を文字どおり受け取り、本気で心配した可愛い勘違い。子どものまっすぐな感性は、ときに大人の予想を超える発想を見せてくれます。何気ない一言から生まれた出来事でしたが、わが家に温かな笑いを届けてくれました。
これからも子どもの言葉に丁寧に耳を傾けたいと感じた春の思い出です。
(ファンファン福岡公式ライター/ひなたママ)





