私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

小学校に上がる年の2月のこと。
「おばあちゃん、罰が当たることって本当にあるの?」
「お母さんから聞いた事はあるよ。話してあげようかね」

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祖母の母がまだ小さかったある夏の日。
田んぼのわきの小川でメダカを追いかけたり、泥団子を作ったり、皆と楽しく遊んでいた。
「あっ!こんなところに何かある」
友達の一人の声に見てみると、田んぼの端に小さな祠があった。
中には人のように見える古い木の像が祀られていた。
「これで遊ぼう!」
その像に落ちていた縄を結び、それに跨がって赤土の斜面を何度も滑って遊んだ。
皆も像もドロドロになって夢中で遊んでいた時、気難しいと評判の吾作さんが血相を変えて近づいて来た。
そして大声で
「お前達こんなことをして、たのかん(田の神)さんの罰が当たるぞ!」と怒鳴った。

怖くなった皆は近くのため池に行き、像をきれいに洗うと祠に戻して「許してください。祟らないでください」と手を合わせた。
それから数日後、吾作さんが倒れたという噂を聞いた。
なんでも高熱が出て体が動かず、ずっとうわごとを言っているらしい。
家族で看病しているうちに娘さんもおかしくなった。
「子ども達と楽しく遊んでいたのに、何故邪魔をした!」と恐ろしい形相で叫ぶと、その場に倒れてしまったのだ。
それを聞いた子ども達は相談し、吾作さんの奥さんに数日前の出来事を伝えた。
子ども達は奥さんを連れて祠に行き、お米と水を供え「吾作さんを許してください」と声を揃えた。

ほどなく吾作さんも娘さんも意識を取り戻した。
「怒鳴ってすまなかった。お前達のおかげで命を拾った。ありがとう」
吾作さんは子ども達に頭を下げた。
一方、娘さんは全く記憶がなかったそうだ。
その後吾作さんは立派な祠を作り、たのかんさんを祀った。

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「お母さん達は新しい祠の中でもよく遊んだって言ってたよ。神さんも賑やかで嬉しかったんじゃないかな」
「その祠見たことある?」
「お母さんに連れられて何回も行ったけどきれいな所だったねぇ。でも数年前に取り壊されてマンションが建ったそうだよ」
そう答えた祖母はとても残念そうだった。





チョコ太郎より
初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。
