Re:祖母が語った不思議な話・その弐拾玖(29)「座敷の鬼」

私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

イラスト:チョコ太郎(協力:猫チョコ製作所)

祖母が四歳の冬、初めて母方の田舎に泊まった。
それはそれは歓迎され、同じ年頃の従姉妹と遊び、用意してくれていた好物のちらし寿司を食べ、一番風呂にも入れてもらった。

夜も更け、広い座敷におばあちゃんと二人で寝ることになった。
祖母のためにランプはつけたままにしてくれた。
座敷には仏壇があり、側に一尺(約33cm)くらいの木彫りの人形が飾ってあった。
それは鬼のような顔で、そこに飾ってあるのが不釣り合いに見えた。
恐ろしく感じた祖母はあまり見ないようにして布団に入った。

海が近い家なので、かすかに潮騒が聞こえる。

朝早くに家を出たので疲れていたが、なかなか眠れない。
ふと気になってあの人形を見ると、こちらを見ているような気がしてならない。
祖母は起き上がると人形をくるりと反対に向けた。
もう一度布団に入るとすぐに眠りに落ちた。

しばらくすると隣りの部屋から低くうなる声が聞こえてきた。
ふすまがゆっくりと開き、大きな顔の女が笑いながらずりずりと部屋に入って来ようとしている!

祖母は飛び起きた!
隣でおばあちゃんが心配そうに見ている。

「夢を見たのかい?」
「怖い女の人が来る夢見た!」
おばあちゃんは何か思い当たるような様子で立ち上がり、仏壇に行った。

「やっぱり!これは夢守りさんと言って、悪夢を見ないように守ってくれているんだよ」
そう言うと、くるりと人形を元にもどした。
あらためて見ると少し笑っているように感じた。

それから祖母は夢も見ずに朝までぐっすりと眠ることができた。

……………………………………………………………

「夢守りさん、今もあるの?」
私が尋ねると、祖母は寂しそうにこう答えた。
「戦争で焼けてしまったそうだよ…残念だね」

チョコ太郎より

初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。

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