引っ越し先での暮らしは、期待よりも不安が先に立つことがあります。わが家も、新しい街で思いがけない隣人トラブルに直面しました。そんな中、空気を変えたのは、3歳の娘の一言でした。
引越してすぐ届いた恐怖の手紙

娘が3歳の頃、わが家は今住む地域に引越しました。以前住んでいた場所とは違い、かなりの都会。田舎育ちの私は、少し緊張しながら新しいアパートでの生活を始めました。
引越し作業が一段落した3日目。外出先から戻ると、玄関扉の下に小さな手紙が挟まれていました。開けてみると、そこにはこう書かれていました。
「扉の開閉音がうるさいです。ご配慮ください」
引越し作業で何度か扉の開閉はしていましたが、乱暴に扱ったつもりはありませんでした。それでも、顔も知らない相手から届いたその手紙に、私は強い不安を覚えました。都会って、やっぱり少し怖い。誰からのものか分からないまま、ビクビクしながら過ごす日々が始まりました。
娘の癇癪に怒鳴った隣人
ある日、娘がひどい癇癪を起こし、大声で「ヤダー」と叫び続けました。私は安全を確保しながら、ただ見守ることしかできませんでした。
すると突然、隣の部屋から壁を叩く音が。さらにバルコニーの窓が開き、
「うるさいんじゃー!常識ないんか!!」と怒鳴り声が響きました。
あまりの恐怖に、私は娘を抱きしめ、隣人の部屋からなるべく離れた部屋へ移動しました。娘が落ち着くまで、ただひたすら抱きしめ続けるしかありませんでした。
置き配が蹴られた

ある日、隣人と帰宅時間が重なりました。
「こんにちは」と挨拶するも、隣人は完全に無視。前を歩く隣人の後ろから少し距離を取り、私と娘も階段を上りました。
すると、私たちの部屋の付近で、「ドンッ」と何かを蹴る音が聞こえました。部屋の前に着くと、私たちの置き配の段ボールに蹴られた跡があり、横向きに倒れていたのです。
私は強い恐怖を覚えました。しかし娘は、蹴られた跡も、倒れていることもまったく気にせず、
「○○(娘の名前)の~? ○○の~?」とうれしそうに段ボールを運びます。その様子に、先ほどまでの恐怖も少し和らぎました。
挨拶しない隣人と、あきらめなかった娘

それからも、隣人は私たちの挨拶を無視し続けました。ある日、娘が「こんにちは~」と声をかけても、やはり返事はありません。すると娘は、大きな声でこう言いました。
「挨拶したのに、お返事ないねぇ。どうしてかなぁ。」
私は内心ヒヤヒヤしながら、「聞こえなかったのかもしれないね」と答えました。その言葉を真に受けた娘は、もう一度、とびきりの笑顔で「こんにちは!」と声をかけました。
すると、隣人は小さく会釈をしたのです。返事をあきらめなかった娘の、無邪気な勝利でした。
怖さでいっぱいだった引っ越し直後の日々。あの頃の私は、ただ怖くて、娘を守らなければと必死でした。けれど、娘の無邪気な笑顔に、気づけば、私のほうが救われていたのかもしれません。
その後、今度は車に10円傷がつけられる出来事がありました。犯人は分かりませんでしたが、念のため警察に通報し、自宅まで来てもらいました。それ以降、隣人からの嫌がらせも不思議と一切なくなり、平穏な日常を手に入れることができました。
(ファンファン福岡公式ライター/yutaka)





