Re:祖母が語った不思議な話・その弐拾参(23)「四つ辻」

私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

イラスト:チョコ太郎(協力:猫チョコ製作所)

「昨夜は薬屋が見たそうだ」
「やっぱり女(おなご)ん子だったらしい」
「これで三晩続いたな」
「狐がばけているのじゃないか?」
「昔から出ると言われている場所だ。きっと亡霊だぞ」

祖母が六歳の冬、村はうわさで持ち切りだった。
夜、村はずれの四ツ辻に女の子が出るというのだ。
皆、気味悪がって夜は外に出なくなり、ひと月が過ぎた頃…

「あの女の子なぁ…うちの娘なんだ」
朝早く祖母の父親を訪ねてきた前畑さんが、いきなり切り出した。

ある朝、十二歳になる娘の足に泥が付いているのに気がついた。
不審に思い寝ずの番をしていると、真夜中過ぎに娘が朦朧と歩き出し家を出た。
ついて行くと四ツ辻まで来てぼうっと立っている。
しばらくすると家に向かって滑るように帰って行った。

翌朝、娘を問いつめたが、本人にはまったく覚えが無い。
どうやら夜な夜な家を抜け出し歩き回っているようだ。

「医者には診せたのか?」
「噂になっているし年頃だから、なるべく人に知られたくなくてな」
「う〜ん…」

それから父親と前畑さんは出かけて行き、夕方真っ白な装束を着た男の人を連れて帰ってきた。
ぼそぼそと話をしていた三人が家を出たので、祖母はこっそりついて行った。

前畑さんの家に着くと白装束の男は二人に庭を掘らせ、小さな壷を埋めた。
そこに向かってしばらく何かを唱えた後、男は帰っていった。
その夜から効果はてきめん、ぴたりと娘さんは歩き回ることがなくなり、いつしか噂も消えていった。

不思議に思った祖母が何をしたのか父親に尋ねると

「見てたのか…あの男は拝み屋さんだよ。相談すると娘の嫌いなものを尋ねられたから前畑さんが蛇だと答えると、蛇の皮を壷に入れて庭に埋めさせたんだ。しかしこんなに効果があるとは…」

感心しながらそう話してくれたそうだ。

チョコ太郎より

初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。

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