近所のおじいちゃんに言われた「お宅の窓のカギが開いてたよ。気をつけて」という言葉。最初は親切に教えてもらってありがたいなと思っていました。しかしよくよく確認してみると、おじいちゃんの言葉が“怖いもの”だったと判明し…ゾッとした体験談です。
「窓が開いてたよ」と教えてくれたおじいちゃん

1歳の息子と遊んで家に帰ってきたとき、家の前で近所に住んでいるおじいちゃんに会いました。
80代くらいのおじいちゃんで、普段からよく町内を散歩していて、いつも子どもたちに
「今日もかわいいねぇ」などと、穏やかな口調で話しかけてくれます。おじいちゃんに
「こんにちはー」と挨拶をかわし、
「散歩日和ですね」などと少し世間話をしていました。
すると、ふと思い出したように
「そういえばね、さっきここを通ったときに見つけたんだけど、お宅の家の窓が開いてたよ」とおじいちゃん。
「え、本当ですか?!どこの窓ですか?」と聞くと、小首をかしげて考える素振りをしながら
「うーん、どこだったかな?とりあえずカギが開いてるなって思ってね、気をつけなさいね」と、にっこりと笑って行ってしまいました。
私は「ありがとうございます」と言って、家の中に入りました。
そしてすぐに「どこの窓が開いてたんだろう?」と探しました。
しかしリビングの窓も、廊下の窓も、目立つ窓はどこも閉まっているしカギもかけてあります。
「んー?どこのことを言ってたのかな?」と他の部屋も確認してみると、1つカギがかかっていない窓がありました。
「あ、ここの窓のことか…」と合点がいったと同時に、「え、ここの窓…?」と背筋が凍りました。
ここの窓をどうやって確認したの?

カギが開いていた窓は、家の中でも奥まった部屋。
敷地で一番奥にあり、隣の家との間です。道からのぞいただけでは見えず、敷地の中に入ってこないと窓の存在すらわかりません。
「まさか、この窓のこと?わざわざ敷地内に入ったの?」と急におじいちゃんの言葉が怖くなりました。
静かに動悸に襲われながらおじいちゃんの言葉を思い返していると
「そういえば、おじいちゃん『カギが開いてた』って言ってた…。何となく窓が開けっぱなしになってたって意味だと思ってたけど、わざわざ窓にカギがかかってないか調べたってこと?」思い、恐怖は倍増。
すぐに家の中の貴重品を徹底的にチェックしましたが、無くなっているものはなし。
一安心はしましたが、「まさかあんなに穏やかそうなおじいちゃんが…本当に?」と、おじいちゃんへの不信感や恐怖心はどんどん膨らむばかりでした。
聞いて判明したおじいちゃんの過去

後日、近所で情報通のおばさんに会えたので、おじいちゃんについて
「あのいつも散歩してるおじいちゃんって、おいくつくらいなんですか?」と話題をふってみました。おばさんは
「ああ、あのおじいちゃん?ちょっともう認知症があってね。ボケてきてるのよ」と言います。
当たり障りのない会話で終わってしまいそうだったので、私は核心に切り込むため
「そうなんですね!いや実はなんか、ちょっと昨日、家の敷地内に間違って?入ってたのを見ちゃってびっくりして…」と噓をつきました。
するとおばさんは、私に顔を近づけて
「昔からいる人は知ってるんだけど…」と急に声のトーンを落としました。
続けて
「昔あの人、窃盗で何度も捕まったの。近所の家がいくつか被害にあったから一時期は孤立しててね。もう当時のことは覚えてないみたいだけど、何があるかはわからないから、一応気をつけてね」と話してくれました。
この日から、それまでより念入りに家のカギを確認するようになったのは言うまでもありません。近所でおじいちゃんに会うこともありますが、軽く挨拶する程度。ですが、ついウロウロしているおじいちゃんを見ると身構えてしまう自分がいます。
(ファンファン福岡公式ライター/K)





