子どもは、思ったことをそのまま口にします。大人のように「これは言っていいかな?」なんて考えず、見たまま、感じたままを、驚くほど素直に。それが可愛くもあり、時に恐ろしくもある。子育てをしていると、そんな瞬間に何度も出会います。今回の出来事は、仲良しママ友の家に遊びに行った、ごく平和な一日から始まりました。ところが、子どもが放った「たった一言」で、その場の空気は一瞬にして凍りつくことに。笑っていいのか、止めるべきか。大人たちが一斉にフリーズした、忘れられない出来事のお話です。
楽しいはずのママ友宅訪問、和やかなスタート

その日は、同じ園に通うママ友のAさん宅へ遊びに行く約束をしていました。家も近く、子ども同士も仲が良い、いわゆる気心の知れた関係。
「散らかってるけど気にしないでね〜」
そう言われてお邪魔したAさんの家は、正直とてもきれい。ナチュラルな家具に統一されたリビング、センスのいい雑貨。私たちはコーヒーを飲みながら、園の話や最近の出来事をのんびりおしゃべり。子どもたちも最初はおもちゃで仲良く遊んでいて、「今日は平和だね」なんて思っていました。
そう、あの一言が飛び出すまでは。
子どもの『正直すぎる一言』が炸裂

子どもたちがリビングを走り回り、Aさんが「こらこら〜」と声をかけた、その瞬間。うちの子が、少し大きな声でこう言ったのです。
「ねえ、このおうち、なんかニオイするね」
シーン、と静まり返る部屋。時間が止まったような感覚でした。たしかに私も、何か独特なニオイには気づいていたものの、ニオイについて言及せずにいたのです。
私の頭の中では、「今の、聞かなかったことにできない!?」という叫び声がこだまします。Aさんの表情を見ないようにしながら、必死でフォローの言葉を探す私。他のママたちも、一斉に視線を泳がせていました。
大人の必死なフォローと、止まらない冷や汗
「え、えっと…!さっきお昼ごはん作ったからかな!」
「そうそう、カレーの匂いだよね!」
誰かが言えば、誰かがかぶせるように同意する。その場にいた全員が、とにかくこの空気をどうにかしようと必死でした。
当の本人はというと、「そう?カレーのにおいかな?」と首をかしげながら、また遊びに戻っていきました。悪気はまったくなく、その場の空気が凍りついていることにも気づいていない、純度100%の無邪気さ。
Aさんは一瞬驚いた表情を見せたものの、すぐに笑って「子どもって正直だよね〜」と場を和ませてくれました。その笑顔に救われつつも、私の心臓はしばらくバクバク。内心では「もう二度と他人の家で余計なこと言わないで…!」と必死に祈っていました。
帰り道に感じた、恥ずかしさとちょっとした安堵

その後は何事もなかったかのように時間が流れ、おやつを食べて、少し遊んで、無事にお開き。表面上は平和そのものだったけれど、私の心臓だけは、しばらく落ち着きませんでした。
帰り道、私は子どもにそっと聞きました。
「さっきのこと、覚えてる?」
すると返ってきたのは、「え?なに?」の一言。あの場の凍りついた空気も、大人たちの必死なフォローも、本人には全く伝わっておらず…。
その温度差に、恥ずかしさと同時に、少しだけ救われたような気持ちになりました。そして、Aさんが笑顔で受け止めてくれたことを思い出し、改めて胸の奥で「ありがたかったな」と感じたのです。
正直すぎる言葉も、いつかは笑い話に
子どもの一言は、ときに凶器になります。大人の事情も、空気も、お構いなし。あの瞬間は、穴があったら入りたいほど恥ずかしかったし、正直、しばらく思い出したくもありませんでした。
でも時間が経ってみると、「ああ、あれも子育ての一コマだったな」と、少しずつ笑えるようになってきました。きっと、あの日の出来事も、数年後には「そういえばさ…」と話せる、我が家の定番ネタになるはずです。
子育て中には、ヒヤッとする瞬間も、冷や汗をかく出来事も、本当に数えきれないほどあります。それでも、その多くは、あとから振り返ると少しだけ笑えて、少しだけ成長を感じられる思い出になる。
今日もどこかで、誰かの子どもが正直すぎる一言を放ち、どこかの大人が静かにフリーズしている。そう思うと、不思議と気持ちが軽くなるのです。
(ファンファン福岡公式ライター/Happymam)





