福岡県新県美とデザインを考える 「隈さんと佐藤さんと新県美」ワークショップ参加レポート

令和11(2029)年度に大濠公園南側に開館予定の新県立美術館。アートファンだけでなく、福岡県民から大きな期待が寄せられている新県美がどのように進むのかを考える「新県美デザインワークショップvol.4」が大濠公園能楽堂で行われ、九州、山口の展覧会情報やアートに関する情報を発信する「ARTNE(アルトネ)」編集部も参加しました。

ワークショップは同館を設計する国際的な建築家・隈研吾氏と、新県美のシンボルマークやサイン等を手がけるグラフィックデザイナー佐藤卓氏が登壇。新県美とデザインに関する議論が活発に行われました。

目次

新県美デザインワークショップvol.4 体験レポート

ワークショップは事前申込制で、定員300名がすぐに埋まるほどの人気でした。参加者の期待の高さがうかがえます。会場の能楽堂ロビーには新県美の模型が展示され、大濠公園の池面や福岡市美術館との位置関係などがよくわかります。

ワークショップの第1部では、隈氏から最新の設計進捗が報告されました。

ポイントは街と公園をつなぐ通り抜け空間『アーバンスリット』と、美術館内部の大きな吹き抜け空間『メディアボイド』の設置です。また『この場の関係性』を重視して、隣接する日本庭園や大濠公園の池面の眺望も考慮されています。

続いて佐藤氏からは、デザインによって新しい価値を生み出す重要性が語られました。ロングセラー商品の『おいしい牛乳』や『キシリトールガム』のパッケージデザインの事例を紹介し、見た目の魅力だけでなく、機能や社会的価値を伝えるデザインの力を強調しました。

第2部は参加者からのコメントと質問に答えるワークショップ。『あなたにとってデザインとは?』という問いに対し、参加者からは『祈り』『ものごとをつなぐこと』『ファーストインパクト』など様々な意見が寄せられました。隈氏からは祈りの要素は、建築にとって非常に大切なものと語り、美術館はくつろぎと癒しの空間でもあるとコメントしました。佐藤氏はデザインは祈りという回答に新鮮な驚きを示されていました。

今回のワークショップを通じ、新県美は日常とアートを『つなぐ』、福岡の歴史や自然、世代を『つなぐ』新しいスタンダードを実現する場になると感じました。
お二人ともまだ具体的な内容が決まっていない段階で、建築家とデザイナーが公開の場でプレゼンテーションを行う取り組みはこれまでに経験がないとのこと。今回のワークショップの成果は、新県美が開館した時に生まれた子どもたちが大人になって、自分の子供や孫と日常的に訪れるような、そんな未来の福岡で明らかになるかもしれませんね。

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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