福岡市美術館でついに開幕!「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」現地リポート

12月13日(土)、福岡市美術館で「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が開幕しました。彫刻、棺、装飾品、土器、パピルス、そして人間や猫のミイラ等、約150点の遺物を通じて、今から3千年前、私たちの想像を超える高度な文化を創出した人々の営みを紐解く展覧会です。

本展監修を務められた気鋭のエジプト考古学者・河江肖剰氏の案内に導かれながら、ほんの少しだけ会場の様子を紹介します。

本展の監修を務められた古代エジプト考古学者・河江肖剰氏
目次

1st stage「古代エジプト人の謎を解け!」人々の日常生活を垣間見る

今回の展覧会のユニークさのひとつは、古代エジプト人の「日常生活」に焦点が当てられていること。ピラミッドをつくった王(ファラオ)ではない、そこに暮らした人々の生活を垣間見ることができるような展示物の数々が並びます。

1stステージの展示風景。日常生活を物語る彫像、レリーフの他、様々な日用品も並ぶ

装飾的かつ呪術的な意味を携えた道具類、親が子に就かせたい職業が書記であったこと、ナイル川とその氾濫によってもたらされる肥沃な〈黒い大地〉の恵みによる豊かな食生活、美しさの概念について——興味を誘うトピックや解説に導かれながら、彫像やレリーフ、日用品や装飾品等といった展示物の美しさに目を奪われます。

《貴族の男性のレリーフ》前1292~前1075年頃、ブルックリン博物館蔵
優美で丹精なレリーフ。アクエンアテン王が主導した芸術様式の名残が見て取れる

2nd Stage「ファラオの実像を解明せよ!」絶対的な権力を有したファラオにフォーカス

次のステージでは3千年の王朝史を通じて活躍した12人の王(ファラオ)を特集。それぞれのファラオの名前は神とも関わりがあり、当時の宗教はもとより、政治や社会情勢も反映されているという程に、古代エジプト文明を語る上で、ファラオの存在は欠かせないのだそう。

2ndステージの展示風景。展示されている《王の頭部》は、ギザの大ピラミッドを建造させたクフ王ではないかとも推定されている
ピラミッド研究の歴史やテクノロジーによる最新研究についても紹介されている。
本展監修の河江肖剰氏が発掘現場で実際に使用する道具類の展示も

Final Stage 「死後の世界の門をたたけ!」古代エジプトの死生観に迫る

最終章では、古代エジプトのユニークな死生観や葬送文化を紹介。人や動物のミイラをはじめ、様々な副葬品や葬儀のための道具等を展覧、さらには、ミイラがどのように作られ、身分やジェンダーによってどのような違いがあるのか等が展示物や映像を通し語られていました。

最終章の展示風景。
ミイラや棺においても、年代や葬られている人によって様々な違いがあることがわかる
数千年前のものとは思われないような煌びやかな副葬品の数々。
創造と再生の神秘の象徴であるスカラベをモチーフにした装飾品も
猿、魚、カバ、こんなファンシーな副葬品も。豊穣と再生の象徴でもあるカバは、その獰猛な習性から、死者を傷つけないよう、足を折り取ってから逆さにして副葬されたそう
ミイラづくりの際に、内臓を保存する役割を果たしたカノプス壺。
壺の蓋のジャッカル、ヒヒ、人間、ハヤブサは、神の頭部をかたどったものとされている

展覧会は来年3月8日まで。謎に包まれた古代エジプトの世界。

遠い時空を越え、今、福岡の地でその息吹を感じさせてくれる事物の数々、最新の研究によって解き明かされるその実像や知に出逢いにぜひ美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。

ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト

■日時:2025年12月13日(土)〜2026年3月8日(日)
■会場:福岡市美術館 特別展示室
■開館時間: 9:30~17:30
※最終入場は30分前まで ※休館日は毎週月曜日・年末年始(12月28日~1月5日) ※1月12日(月・祝)、2月23日(月・祝)は開館し、1月13日(火)、2月24日(火)は休館
■主催:ブルックリン博物館、特別展 古代エジプト 福岡実行委員会
■特別協賛:大和ハウス工業
■協賛:DNP大日本印刷
■協力:名古屋大学、日本航空、一般社団法人Platoo、ヤマト運輸、World Scan Project
■企画協力:朝日新聞社、日本テレビ放送網
■問い合わせ:東映 Tel. 092-532-1082(開館日の9:30~17:30)
公式HPはこちら https://egypt-brooklyn.exhibit.jp/
ARTNE TICKETはこちら https://artne.jp/tickets

記事をシェアする

※この記事内容は公開日時点での情報です。

プロフィール

ARTNE(アルトネ)のアバター
ARTNE(アルトネ)

「ARTNE」(アルトネ)とは、 九州・山口の展覧会情報やアートに関連した情報を発信するWEBマガジンです。  本サイトを通じ、さまざまなアート情報を積極的に発信し、九州・山口を中心とした多くの美術ファンに、より展覧会の理解を深めていただきたいと考えております。また、ここでしか知ることができない九州・山口初の美術展や活躍するアーティストなどの活動を、九州や山口から全国に積極的に発信して、九州にふさわしい文化発信装置として活動してまいります。

タグ

フリーワード検索

目次