明治生まれの祖母のちょっと怖くて不思議な思い出をまとめた連載「祖母が語った不思議な話」正続編終了時に、多くの方から続編を望まれる声をいただきました。御期待に応えた第3シリーズです。

祖母は時々奇妙な行動をとることがあった。
家を出てから目的地方向に真っ直ぐ行かずに横道に折れたりする。
最終的には問題無く着くので散歩も兼ねているのかなとも思ったが、いつもではない。
また、歩いていて急に横向きに数歩歩いてから戻ったりする。
特に何か邪魔になる物が転がっているわけでもない。
そんなときは必ず何か呟いている。

常々不思議に思っていたが、気になって仕方ないので、一緒に歩いているときに聞いてみた。
小学2年生の冬だった。
「おばあちゃん、ときどきまっすぐにもくてき地に行かずに横道に折れてから行くよね。あれはどうして?」
「ああ、あれはねおまじない。日によって良くない方向があって、そちらに行かなければならないときは一度違う方向を目指してから行くのよ」

「へえ〜! それとときどきまっすぐじゃなく横に少し歩いたりしてるよね、なにかつぶやきながら。あれは?」
「あれもおまじない…というか験担ぎ(げんかつぎ)かな。歩道の色の変わる所や四つ辻に突き当たる所までの歩数を、良い数字にするために調整しているのよ」
「良い数字?」
「これもそのときの条件で変わるんだけど…よく『四は死、九は苦に通じる』って避ける人多いでしょ。あれと同じ験担ぎで、七や八といった縁起の良い数字に合わせているの。呟いているのはその歩数を数えたり、歩に合わせて祝詞を唱えているんだよ」
「ふ〜ん! おもしろいね」

「私が子どもの頃、おばあさんから聞いた方法。ゴロの良い言葉を好んだり、ある数字を忌んだりするのは今でも変わらないね。昔の陰陽師が目的地を目指す良い方向を導き出したのと根っこは同じかな。簡単にできるけど、なかなか効くのよ」
「ボクもやってみるよ」
「そう?」と祖母は満足そうに微笑んだ。
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これが「方違え(かたたがえ)」や「吉数」に基づくものだと知ったのは大人になってからだった。
今でも歩く時に知らず知らずにやっている。






チョコ太郎より
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