子育てをしていると、子どもとぶつかり合い「ママなんて嫌い」と言われてしまうことがあります。そんな時、あなたならどう対応しますか?「嫌いで結構!」と強気に出る?「嫌いなんて言わないの」とたしなめてみる?たわいもないやりとりの中で、キュンとする出来事がありました。
おもちゃをめぐる奪い合いが勃発

友人は、わんぱくな6歳の息子(以下A君)を育児中のママ。先日、友人が子連れでわが家に遊びに来た時、私の娘(4歳)とA君がおもちゃを巡って、奪い合いになりました。そもそも、そのおもちゃは、A君が持ってきたもの。目新しいおもちゃを貸してもらおうと、娘が勝手に遊びはじめたのが、けんかのきっかけでした。
友人は、けんかのきっかけよりも、A君が自分より年下の子からおもちゃを奪い返そうと押しのけて、娘がしりもちをついて泣きだしたことを叱ろうとしていました。
「こら!けんかしない!お友達に貸してあげられないなら、おもちゃを持ってきたりしない!」と厳しく雷を落とします。A君は、おもちゃを奪われた側だったので、怒られたことに納得がいかず、不満顔。「でも…!だって…!」と食ってかかりました。
「言い訳しない!娘ちゃんはA君よりも年下なのに、けんかしたり、手を出したりしたらダメでしょう!」と、A君の言い分に耳を傾けることはありませんでした。納得できないA君は、泣き出しそうになるのを必死でこらえているのか、顔が真っ赤になっています。グッと唇を噛みしめて、友人をにらみつけると「ママなんて大嫌いだ!なんでそんなに僕のことだけを怒るの?ママなんて一生会いたくない!」と言い放ち、ポロリと涙がこぼれました。
友人の強気な態度
「これはきつい…」同じ子育て中のママなので、友人の気持ちが痛いほど分かります。きっとわが子にこんな言葉を言われて、傷ついているだろうと、顔色をうかがいました。やはり、友人は内心ショックを受けて、グッと押し黙ってしまいましたが、強気の態度を崩さずに、こう切り返しました。
「いいわよ。ママに一生会えなくてもいいのね。じゃあ、ここの家の子になりなさい。ママからよろしくって伝えておくから。じゃあもうお別れね。バイバイ!」
まだにらみつけているA君に背を向けて、友人は足早に玄関に向かいました。私もあわてて玄関に向かいます。
「ごめん…うちの子が、A君の大事なおもちゃで、勝手に遊びはじめたから…」と謝ると、友人は小声で「気にしないで。私も息子も、お互い冷静になったほうが良さそう。ちょっと頭を冷やしてくるから、息子をよろしくね。コンビニでも行ってくるわ」と告げて、本当に外出してしまいました。
みるみるうちに涙があふれ…

自分を置き去りにして、立ち去ってしまったママの背中を見ながら、ぼう然とするA君。先ほどまでは、眉間にしわを寄せてにらみつけていたのに、みるみるうちに涙があふれ「…嫌だよ。もうママに会えないの嫌だ!ママに会いたい!!」と、しくしく泣き始めたのです。
ぼう然と事の様子を見ていた娘も、突然号泣しはじめたA君を見てつられて泣き出す始末。わぁわぁと泣く子ども達の背中をさすりながら「大丈夫だからね」と慰めることしか、私に出来ることはありませんでした。
戻ってきたママにA君がとった行動とは

10分ほど経ち、友人がコンビニの袋を手に帰ってきた時、A君は「ママ!もう喧嘩したりしない!おもちゃも貸してあげるから、ママの子どものままがいいよーー!」と抱きついて離れませんでした。そして、コンビニで買ってきたアイスを食べながらみんなで休憩をしていると、A君が突然、「ママ、スマホかして」とおねだりし、スマホで友人の写真を撮り始めたのです。
「どうしたの??」とA君に尋ねると、「ママに会えなくなった時、さみしくないように、いっぱいママの写真を残しておくんだ!」と答えて、色んな角度から友人を撮っていきます。
もうすぐ小学生で、大きく成長したとはいえ、まだまだ6歳児。ママ達は、男児の繊細さに、キュンッとハートをわしづかみにされた瞬間でした。
(ファンファン福岡公式ライター/T)





