わが子と同じクラスのMちゃんは、他人の家で非常識な行動をするタイプ。遊びに来られるたびに困っていましたが、ある事情を知ってからは毅然とした態度をとると、Mちゃんに変化が現れるようになりました。
「もう来ないでほしい」と思ったわが子の友達

わが子が小学3年生のとき、初めてわが家に遊びにきた同級生のMちゃん。挨拶もなく、靴は脱ぎっぱなし。家に上がったそばから、寝室に入ったり浴室のドアを開けたりとやりたい放題。
冷蔵庫を開けて勝手にジュースを飲もうとしたときは、さすがに「人の家の冷蔵庫を勝手に開けてはダメだよ」と止めました。Mちゃんは「ふーん」と一応返事はしたものの、その顔は明らかに不貞腐れていました。
その他にも「みんなで食べてね」と出したお菓子をひとり占めしたり、ゲームの順番を守らなかったりと、Mちゃんが来るようになってから、それまで仲良く遊んでいた子どもたちが喧嘩になることもしばしば。
大人げない話ですが、私はMちゃんがわが家に来るのを疎ましく思うようになっていました。
考えた末、真正面から向き合うことに
Mちゃんがわが家に来るようになって2カ月後、小学校の参観日がありました。Mちゃんは何度も何度も後ろを振り返っていましたが、どうやらMちゃんママはいないようです。
残り5分になってやっとMちゃんママが現れると、Mちゃんはよほど嬉しかったのか授業中にも関わらず
「お母さん!」と声に出してしまいました。先生から「黒板に集中してね~」と注意され、クラスは笑いに包まれます。
一見すると微笑ましい光景にも思えますが、近くにいた方から「教育熱心なMちゃんママは、ピアノが上手で成績優秀なMちゃんのお姉ちゃんにつきっきりで、Mちゃんには無関心みたい」という話を聞き、Mちゃんの振る舞いはMちゃんだけが問題ではないと思うようになりました。
それで私は、Mちゃんがわが家に来たときは存在を疎ましく思って避けるのではなく、
「挨拶は?」「靴は揃えてね」「ドアは勝手に開けない」など、口うるさいおばさんと化すことに決めたのです。怒るのではなく、伝える。そう心がけて。
私はMちゃんを呼び止めて目の前に立たせると、「わが家のルールが守れないならここでは遊べない。守れるなら遊んでもいいよ。どうするかはMちゃんが決めなさい」と、真剣な表情で伝えました。
Mちゃんの意外な反応

Mちゃんはもしかしたらもう来なくなるかもしれないと思いましたが、予想は外れ、それからもMちゃんはわが家にやってきました。
そして、少しずつですが、以前のような振る舞いはしなくなりました。Mちゃんはいつものように勝手にドアを開けそうになると、その手を意識的に止めようとしたり、自分の行動を考えるようになりました。
時には無意識に食べ歩きしてしまい、私と目が合った瞬間気づいて慌ててその場に座り込むこともありました。私が「そうだね。座って食べてね」というと、素直に小さく頷きます。
Mちゃんは明らかに変わろうとしていました。玄関では「こんにちは」と頭を下げ、「どうぞ」というと「おじゃまします」といって、靴を揃えて中に入っていくようになりました。
人が変わったように
わが子いわく、Mちゃんはちょっとわがままだけど、めちゃめちゃ面白いのだそう。
最初は必ずリビングで遊ばせていましたが、半年過ぎるころには子ども部屋で子どもたちだけで遊ばせても、ドアの向こうから楽しそうな声が聞こえるようになりました。
子どもの性格や生育環境などによって、私の対応が必ずしも正解とはかぎりません。
わが子を守るためには思いっきり突き放す必要があるケースもあるかと思いますが、Mちゃんの成長を見届けられたことは私にとって今も大事な思い出です。
(ファンファン公式ライター/tsukimi)





