私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

祖母が十一歳の時、病で臥せっている親戚を見舞いに行った。
病気の勘次さんは寝かせているとのことで奥さんに具合を訊いていると、座敷から叫び声が聞こえた。

「…を…てくれ〜!…きを…てくれ〜!」
顔色を変えて立ち上がった奥さんについて行くと、病人の寝ている部屋から意味の分からない悲鳴が聞こえる。
奥さんに続いて部屋に入ると寝ていた勘次さんが叫んだ。
「向きを変えてくれ!向きを!」
訳も分からないまま、奥さんと二人で敷き布団ごとぐるっと回すと勘次さんはやっと落ち着き、眠ってしまった。

奥さんによると床を用意する時は床の間に頭を向けているのに時々逆向きになっており、そんな時病人は必ず叫ぶのだと言う。
さらに奥さんは「逆向きになると『はやく来いはやく来い、いいからはやく来い』という声が聞こえるってあの人が言うのよ」と暗い顔で語った。

家に帰って家族にこの事を告げた。
広い家なのに何故ほかの部屋に病人を移さないのか尋ねると「あそこはいろいろあるんだ」と祖母のおじいさんがぽつりと言った。




チョコ太郎より
初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。

