走り慣れたいつもの通勤路で思わぬトラブルに遭遇しました。信号機のない横断歩道での停止は法律でも定められた正しい行動です。それなのに私は背後から響く大きな音と男性の怒号に恐怖を感じました。交通ルールを守って止まっただけなのに、思わぬトラブルに巻き込まれた私の体験です。通勤途中に経験した恐ろしい出来事と、今も続くトラウマについてお話します。
信号機のない横断歩道

信号機のない横断歩道。歩行者がいる場合、みなさんはちゃんと停止していますか。
横断歩道に人が立っているのに通り過ぎるドライバーを時折見かけます。歩行者がいるにも関わらず、停止せず罰則が課せられたドライバーがニュースで取り上げられているのを何度か見かけました。
実際、私が住む地域でも、交通安全週間の時期は信号機のない横断歩道に警察官が立ち、取り締まりをしているのをよく見かけます。道路交通法により「横断しようとしている、あるいは横断中の歩行者がいるときは必ず停止する」と定められています。それなのに、真面目に停止した私にまさかの恐怖が襲いかかったのです。
通勤途中で起きた突然の衝撃
私は仕事に行く途中、いつもの道を走っていました。走り慣れた見通しの良い直線道路です。
通勤ラッシュの時間帯ということもあり、交通量は多かったように思います。ふと左脇に目をやると信号機のない横断歩道前に年配の女性が立っているのが見えました。渡ろうとして慎重に車の交通状況を伺っているようです。
通勤途中で急いでいましたがそれでも私は交通ルールを守り、アクセルを緩めブレーキをかけ横断歩道直前でゆっくり停止しました。しかし、その直後背後で「ドーン」という大きな音がしました。

理不尽な男性の言動に恐怖

私はびっくりしてバックミラーで背後を確認しました。どうやら私のすぐ後ろの後続車と、さらにその後ろの車が衝突していたようです。出勤前だったので事故に巻き込まれなかったことにホッとしました。
歩行者が渡り終えたので発進しようとしたその時です。突然「コラーッ」と怒号が響きました。
ふと周りを見ると、左のサイドガラス越しにサングラスをかけた金髪の強面の男性が立っています。サングラスをかけているので表情はハッキリとはわかりませんが、どう考えても激怒しているのは明らかでした。
窓越しに見える男性の姿に体が硬直する私。
「窓を開けろ」といったような合図をされましたが、恐怖心とともに「ここで窓を開けたら大変なことになる」と思い、私は窓を開けずその場でじっとしていました。男性が危険な行動に出れば警察を呼ばなければと、準備をしかけたところ、男性は
「急に止まるなよ。ぶつかってしまっただろが!」と吐き捨てるように言ってきたのです。
見通しの良い道で、私はスピードを出していたわけでもなく、ゆるやかにスピードを落とし停車しただけです。急停車したわけでもなく、そもそもなぜ私が怒られなくてはいけないのかわかりませんでしたが、恐怖心から何も言い返せませんでした。
通勤ラッシュで車の往来も多く、周囲のざわめきの中、私は恐怖心と混乱のなかでしばらく体が硬直し動けませんでした。その強面の男性は言いたいことだけ言い捨てて立ち去り、その後、後続車にも何か言っているのがバックミラー越しに見えました。そして自分の車に戻っていったのです。

トラウマを抱えながらも交通ルールは遵守

強面の男性が立ち去って少し恐怖心が和らぎホッとしたとともに、私は間違ったことはしていないのに、というモヤモヤがずっと続きました。
職場でその出来事を話すと「朝から大変だったね」と他人事な感じの返事が同僚から返ってきました。業務を開始してからも私は嫌な気持ちを引きずりながら取り組んだのを覚えています。それ以来、私は信号機のない横断歩道が恐くなってしまいました。そこを通るとき、ハンドルを握る手に自然と力が入ります。
この経験以降も、もちろん信号機のない横断歩道では歩行者がいれば必ず停止しますが、いつもあのときの男性の恐ろしい姿がフラッシュバックします。完全にトラウマになっているようです。
私は停止するとき、常に後続車も気にするようになりました。「お願いだからぶつかってこないでよ」と思いながらいつもヒヤヒヤした気持ちで停止しています。
(ファンファン福岡公式ライター/つきのあ)





