「学びに年齢制限はない」。そう実感したのは、書道教室で開かれた大宴会に参加したことがきっかけでした。総勢90名、平均年齢70歳、そして最高齢はなんと97歳!人生の大先輩たちと過ごした一夜は、想像の10倍パワフルで、私はただ圧倒されるばかりでした。笑いと驚き、そして深い学びに満ちていたのです。
書道教室で出会った世界

書道教室に通い始めて、はや5年たちました。「忙しい毎日から一時でも逃れることができたら」と思い、高校以来まったくご縁がなかった書道教室のドアをたたきました。教室の生徒さんは大半が私の母親世代か、それ以上の方々です。
男女比率は男性1割程度で、女性が圧倒的多数。40歳をとうに過ぎた私でさえ、教室では最年少で「若い人」扱いをされます。
「もうそろそろ、30歳になった?」「どんどん上達してるわね、おほほ」大先輩から温かい言葉をいただきながら、毎週作品づくりに励んでいます。この空間はとても居心地がよく、日常を忘れて「無」の世界に浸れる、かけがえのない時間なのです。
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1年に2回の大イベント

書道教室では、夏と冬に大宴会が催されます。今まで参加したことがなく、今回が初めての参加です。会場に到着するとそこにいたのは、60代から70代と思われる女性たち。少人数ですが、男性の姿もありました。
長年筆を握ってきた方々の佇まいには、言葉では言い表せないような静かな品格が漂っています。顔見知りがいないテーブルに案内され 、超緊張の私。
「さすがに初対面だと年齢差もあるし、共通の話題が見つけられないかも!」
ところが、そんな心配は杞憂に終わり、すんなり仲間入りさせていただけました。間もなく、大先輩からグラスにビールを注がれ、大恐縮!全員がそろったところで「カンパーイ!」の声とともに、宴が始まりました。
そして、私のテーブルで始まったのは、まさかの「悪口大会」でした。標的はわが書道教室の大先生。間もなく70歳になる男性で、代々書道家の家系に生まれた、いわば書道界のサラブレッドです。普段は恐れ多くて、教室では話しかけるのもためらうほど、圧倒的なオーラをまとっていらっしゃいます。そんな大先生について、 「この前展覧会の受付手伝ったのに、ありがとうも言わないのよ」 「私のときも!」と追従する声。
あの大先生にクレームをつけるなんて… おばちゃんパワー、恐るべしでございます。さらに驚いたのは、その飲みっぷり。 瓶ビール飲み放題の宴会で、私のテーブルにいた女性陣は次々とおかわり。
中瓶(500ml)を1人で2〜3本は軽く空ける勢いで、そのペースは男性陣をしのぐほど。
「やっぱり夏はビールよね~。家で料理作りながら飲むのが、特に最高!」 (それは「キッチンドランカー」では…)
「昨日なんて酎ハイをキュッとやって、そのあとはガーっと寝てね。寝てる間に、旦那が皿洗いしてくれてたわ」 豪快すぎる話と笑い声に、私は圧倒されっぱなしです。
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人生の達人から学んだこと

話題は病気や健康、そして人生の終活へ。
「血糖や血圧、コレステロール高くなってない?医者に注意されても、私は痩せる気ないけどね!」
「私、墓じまいしたのよ。今は樹木葬の時代!」
「行政書士に遺言書の作成を頼んだら、見たこともないほど書類渡されて。今までの人生のなかで、一番自分の名前を書いたわ!」
暗くなりがちな話題を、笑い話のように語る女性たちの言葉に、私はただただ感心するばかり。
配偶者を失っても、大病中でも、未婚でも、みなさん前向きで、とても生き生きしていらっしゃいます。聞けば、お持ちの趣味は書道だけでなくマラソンや手芸、観葉植物と多彩です。
少子高齢化が問題視されている昨今ですが、このパワフルな「お姉さま」方を見ていると、「日本の未来は案外明るい!」そんな気持ちになりました。そして、「私もこんなふうに年を重ねて、素敵な女性になりたい」と、たくさんの元気をもらったのです。
人生の大先輩との宴会は、ただ楽しいだけではありません。まるで「生き方の講義」を受けたような夜でした。「次回も絶対に参加するぞ!」今度はどんな出会いが待っているのか、どんなお話が聞けるのか…今からワクワクしています 。
(ファンファン福岡公式ライター/ダイワ エノ)





