「違う男の名前を神様に報告するなんて!」神前式で乱闘寸前!叔母が激怒したワケとは

10数年前、私たち夫婦はめでたく結婚式を挙げました。日本古来の神々へ永遠の愛を誓う神前式。粛々と執り行われる式の最中、あろうことか神主は夫の名前を読み間違えたのです。緊張のあまり気付かなかった私とは打って変わって、叔母は大激怒。止めに入った母から聞いた後日談が、今でも忘れられません。

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私の結婚を心配していた叔母

私が結婚したのは30代に入ったばかりの頃。20代後半で結婚していないのは、親の世代からすると遅い方だったようです。25歳を過ぎても仕事ばかりしていた私に、両親はそわそわ。時には、知り合いから見合い話をもらってくることもありました。

特に心配していたのは、母の姉にあたる叔母です。娘がいない叔母は、姪にあたる私を特に可愛がってくれていました。竹を割ったような性格の叔母ですが、涙もろく情に熱い真っすぐな人です。遠方に住んでいる叔母へ電話で結婚報告をしたときは、しばらく泣きじゃくって会話にならないほどでした。

式を目前に緊張する私

写真AC

待ちに待った結婚式当日。人前に出ることがあまり得意でない私にとって、結婚式は嬉しさよりも不安でいっぱいでした。神聖な空気が漂う神前式直前。着慣れない和装の圧迫感と耐え難い緊張感で、私の顔に笑顔はありません。軽く軽食をとるよう勧められますが、食べやすいバナナでさえ喉を通らないのです。

緊張する私を心配した叔母は、控室にいる私のところへ声をかけに来てくれました。「大丈夫、大丈夫!」という励ましの言葉といつもの笑顔に、ガチガチに固まっていた私の心は少し和みました。

厳かな神前式が大乱闘寸前に!?

写真AC

神殿に入場してお祓いがはじまるころ、私の頭の中は三三九度と指輪の交換のことばかり。間違えないように必死だったので、祝詞奏上の内容はほとんど耳に入ってきませんでした。神前式の祝詞奏上は、これから夫婦になる2人の名前を神主が読み上げ、神様に報告する儀式。そんな大切な場面で、神主はあろうことか夫の名前を読み間違ってしまったのです。

親族席で聞いていた叔母は「違う男の名前を神様に報告するなんて!」と大激怒。静寂に包まれる神前式の中、叔母は神主に「訂正してもらう!」と言わんばかりに立ち上がります。叔母の気性を知り尽くす母は、「これは怒鳴り込むつもりだ!」とすぐさま察知。「今出て行ったら、結婚式が台無しになるよ!」という母の一言で、叔母は冷静さを取り戻したそうです。怒鳴り込もうとする叔母を止めてくれた母のお陰で、滞りなく式を終えることができました。

神前式への叔母の想い

写真AC

後日談ですが、叔母自身の神前式でも、夫の名前を読み間違えられたそうなのです。その後の結婚生活で苦労をしてきた叔母は、ずっと神主のことを恨んでいたのかもしれません。「大事な姪っ子に同じ苦労はさせたくない!と思ったんだろうね」と母は言います。

名前を間違えられた当の夫はといえば、「名前間違っていたねぇ」とのんきなもの。私の結婚生活を案じてくれた叔母には、仲睦まじい家族写真を添えた年賀状を毎年送っています。神前式で名前を間違えられた私たちですが、10数年経った今でも仲のいい夫婦です。

(ファンファン福岡公式ライター/kotone)

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