福岡市中央区の渡辺通にある中華工房山庄。いわゆる街中華の名店である。カウンターだけのコンパクトな店内。特にランチどきなどは外まで多くのお客さんが並んでいる。

通いはじめて長年経つが、どのメニューを頼んでも本当においしい。カウンターで食べているお客さんたちも、頼んでいるメニューはバラバラで、周囲と話していても、絶対焼きそばを食べるとか、いや皿うどんやろ、とか、それぞれ推しがあるのがわかる。
私も初期はいろんなメニューを食べていたのだけれども、ある時期から山庄に入ると、毎度オーダーはこの一言で統一されることとなった。
「6番お願いします」
山庄には、麺類やご飯ものの他に、14種の定食があり、常連のお客さんたちは「1番で」とか「8番ごはん大盛りで」とか、メニュー名ではなくメニューにふられている番号でオーダーをする。

このうち私がいつも頼む【6番】は「小海老及とり肉のミックス天ぷら定食」というメニューである。
他のメニューも食べたいのだが、入店した瞬間に食い気味で「6番!」と言うほどに、自分の中の定番となった。もはや脊髄反射で「6番」を頼んでしまう。
山庄は、ポットから鶏スープを自分で注いで飲むスタイル。またピリ辛の辛子高菜も自分でとることができ、これらもいちいち美味しい。


ちびちびとつまみながら待っていたら、やってきた、6番「小海老及とり肉のミックス天ぷら定食」!

ボリューミーなとり肉の天ぷら、サクサクぷりぷりの小海老の天ぷら、海老の天ぷらの一部は紫蘇と春巻きの皮みたいなんで包まれて揚げてある。
なかなかにパンチが効いたラインナップであるが、サラダでしっかり野菜もとれて、あとは付け合わせのふわっとした中華風卵焼きも美味。これだけでもう最高である。食べると元気になれるパワーライスだ。
ただしこの定食は、山庄オリジナルのソースをかけることによって、最終形態へと変貌を遂げる。
山庄・禁断の揚げ物ソースとは

こちらがその「揚げ物ソース」である。黄色い容器に入っており、客は各々好きな量を揚げ物にかける。あまりかけすぎるのも悪いなと思いつつ、結局はドバドバとかける。

中身がなにかはわからないのだが、たぶんマヨネーズ、ウスターソース、胡椒あたりは入っているのではないだろうか、絶妙な甘辛さ。このソースと揚げ物の相性が、もう尋常じゃなく良いのである。ちなみに付け合わせの卵焼きとも合う。中毒性さえある。

たっぷりかけて、ご飯にのっけて、いただくと。こすり倒された表現ではあるが、革命戦士・長州力いうところの「飛ぶぞ!!!」である。まじで飛ぶ。渡辺通から、長州力が現役時代オフに例年トレーニングしていたサイパンくらいまでは余裕で飛ぶ。

とんでもないパンチ力。この黄色い容器が「わたしの戦闘力は530,000です」と言っても、私たちはただ呆然と立ち尽くすのみだ。揚げ物ソースの威力の前で、私たちは、無力で、ただモフモフと食べ続けるのみである。そして、満足して店を出る。
「揚げ物ソース」のテイクアウトをネゴってみた
その日の夜、帰宅すると、家族から「山庄いっとるやん」とガン詰めされた。うっかりInstagramに写真をアップしていたのを妻に見られて、山庄好きな子どもたちからも、何なん?自分ばっかずるくない?と詰め寄られた。
山庄はお弁当のテイクアウトもできるので、その週末に買いに行く約束をし場を収めた。家族全員、オーダーはお弁当の「6番」。色々なメニューを頼んでシェアしようぜ、みたいな議論は一切なく全員「6番」一択。
電話で注文して、30分後にとり伺いますなどと話しながら、ふと思った。お弁当の6番にももちろん揚げ物ソースはかかっているのだが、正直、増量したい。好きなだけかけたい。揚げ物ソースを別で売ってはくれないだろうか・・・。ダメもとで交渉してみると。
「売ってますよ。500円ね。」
うおーーーー!!!言ってはみるものだ。我が家に揚げ物ソースがやってくるぞー!
いらっしゃいませ、揚げ物ソース

私が6番のお弁当4つと揚げ物ソースをゲットして帰宅すると、家庭内で歓声があがった。通常は家庭内で立場が弱いのだが、この日ばかりはイモ―タン・ジョーを崇めるウォーボーイズ(マッドマックスより)くらいの感じで、息子たちに歓迎された。
こちらが今回、我が家にお迎えした揚げ物ソース。

言うても、お店では、多少なりだが遠慮しながらかけているが、もうこれは我が家の揚げ物ソースである。全ての制限を解除し、満足いくまでかける。


背徳感もあるが、めちゃくちゃうまい。とまらない。危険なものを手に入れてしまったぞ・・・。
次男がソースのにおいを嗅ぎながら、ぶっ飛んでいる。「これ、なにが入っとるんやろう。俺、山庄でバイトして、調べてこようかな・・・」小学4年生の進路に影響を与えるほどの中毒性なのだ。

某お弁当チェーンの唐揚げにかけてみる
かくして揚げ物ソースをお迎えしたのだが、みんなドバドバ使ってた割には、まだしっかり残っている。山庄の6番のテイクアウトを毎日するわけではない。 ある日、子どものサッカーの試合を送迎し、帰宅が遅くなったので、某お弁当チェーンで唐揚げ弁当を購入。山庄の揚げ物ソースをかけてみた。

おお・・・・デリシャス・・・。もちろん山庄の6番とは違うのだが、これはこれでいいぞ・・・。某お弁当チェーンfeat.山庄の揚げ物ソース。ボーイ・ミーツ・ガールだ。ありますよ、これ。某お弁当チェーンに勝手にコラボレーションを提案したくなってきた。
山庄の揚げ物ソースをお迎えしたことにより、我が家の食卓という宇宙が広がった。
中華工房 山庄
住所:福岡県福岡市中央区渡辺通5-15-22
電話:092-741-1288
営業:月・火・水・木・金・土 11:00 – 15:00/17:00 – 21:30(L.O. 21:00)
祝日 11:00 – 15:00/17:00 – 20:00
日曜日 定休日


