毎晩の夜泣きに、あの手この手で対応するも一向に泣き止まないわが子。寝不足が続く私を救ったのは、まさかの“予想もしなかったもの”。夜泣きに終わりを告げたその意外な対策とは、一体何だったのでしょう?
何歳まで続くの!?ワンオペで夜泣きと格闘する日々…

夫の転勤で見知らぬ土地に越してきた私は、頼れる親も友人も近くにいません。おまけに夫は激務で朝から夜遅くまで仕事。休日出勤もあり、私がワンオペで育児をしていました。夜泣きが始まったのは生後4カ月から。日を追うごとにすさまじくなり、1歳を過ぎても抱っこをしないとギャン泣き。
夜まとまって眠れないのは、娘もかわいそうでしたが、私にとっても本当につらいことでした。おしゃぶりをくわえさせる、ビニール袋をガサガサ鳴らす、テレビの砂嵐音を流すなど思いつく限りの方法を試しました。泣いてもすぐには抱っこせず、逆に電気をつけて起こしてみたり、昼寝を早めに切り上げたり、日光浴をしても結果は惨敗でした。
やっと泣き止んだ娘を腕に抱きながら、深夜の通販番組で欲しくもない商品をあやうく注文そうになったこともあります。早朝4時に映る東京・スクランブル交差点のテレビ映像をボーッと見つめていたこともありました。そんな精神的に綱渡りのような日々が続いていました。
のけぞる娘についに私の精神が限界に!

寝かしつけてもベビーベッドに置いた途端、体を反らして大泣きする娘に私の心と体の限界が近づいてきます。
ある日、ベビー用品店に行ったとき、海外製のカラフルな特大滑り台が目に入りました。「…そうだ。この滑り台でたくさん遊んで疲れたら、寝てくれるかもしれない」と思ったのです。隣で夫は「いやいや、賃貸アパートのうちには大きすぎるだろ」と、冷静なツッコミを入れています。しかも値段を見るとなんと約3万円!しかし、追い詰められていた私は、渋る夫をなんとか説得して意気揚々と購入し、自宅に持ち帰りました。
帰宅後、ダンボールから部品を取り出して組み立てると、お店で見るよりもさらに大きく感じ、6畳の部屋の半分近くが滑り台で占められる状態になってしまいました。しかも、説明書をよく読んでみると「対象年齢は3歳から」と書いてあるではないですか。まだ1歳の娘には当然使えません。「…終わった。」ショックで放心状態の私に、夫はかける言葉もない様子。
大きさ、値段と、何度も立ち止まるポイントがあったにもかかわらず、とりつかれたように購入してしまった自分。最初はひどく落ち込みましたが、だんだんとなんだかこの状況が面白おかしく感じられてきました。私がケラケラと笑うと、横で娘も楽しそうに笑っています。
「もういいや。今日も思う存分泣けばいいさ」そんな諦めの気持ちで、夜の10時過ぎに布団に入りました。
滑り台が起こした奇跡

ピピピピ…。窓の外から聞こえる鳥のさえずりに驚いて飛び起きると、時計は朝の6時を指しています。咄嗟にベビーベッドを見てみると、そこにはスヤスヤと眠る娘の姿が。「もしかして…」。そう、娘は初めて一度も夜泣きをすることがなく、朝まで眠り続けていたのです。滑り台で疲れるまで遊んだわけでもないのに、です。
後から振り返ると、ちょうどこの日は娘が生後1歳半を迎えた日。子育て本などには「夜泣きは1歳半くらいまでに収まることが多い」とあり、まさにその通りになったというわけです。でも、あと1日夜泣きが収まるのが早かったら、3万円払わずに済んだのに…と思うと、少し複雑な気持ちでした。
(ファンファン福岡公式ライター/tsukimi)


