子育てに“魔法の言葉”はない! 大事なのは「ごきげん」を育てる力だった

子育てに「正解」を求めてしまう―。SNSを開けば「魔法の声かけ」「叱らない子育て」といった情報が次々と流れてきます。けれども、答えを追いかければ追いかけるほど、親は迷い、悩んでしまうものです。

「子育てに正解も、魔法の言葉もありません。大切なのは、ごきげんでいる力=ライフスキルなんです」そう語るのは、スポーツドクターでメンタルコーチの辻秀一先生。

ファンファン福岡では、辻先生による新連載 「声かけで変わる!親子で育むごきげん力」 がスタートします。

テーマは「親の声かけ」。

親がご機嫌でいることを軸に、実際にファンファン福岡に寄せられた福岡の子育て世代の悩みに答えながら、親子がもっと楽しく生き生きと暮らせるヒントをお届けしていきます。

※この内容は動画でもご覧いただけます!

目次

「ごきげん力」を広めるスポーツドクター辻秀一先生

スポーツドクターとして活躍する辻秀一先生(提供:エミネクロス)

スポーツドクターであり、アスリートや経営者、教育現場など幅広い分野でメンタルサポートを行っている辻秀一先生。

先生が大切にしているのは、人が“自分らしくご機嫌で生きる”こと。
医学の道からスポーツ医学、そして心理学へと学びを広げ、独自の「辻メソッド」で心を整える力=ライフスキルを伝えています。

教育分野においても、「ごきげん授業」などを通じて学校や保護者に“ごきげんでいる力”の大切さを伝えています。

著書には、ベストセラー『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)や、子育ての視点からまとめた『個性を輝かせる子育て、つぶす子育て』(フォレスト出版)など多数あります。

ごきげん力とは何か?

「ごきげん力」とはどんな力なのでしょうか?

辻先生 人間の生きるパフォーマンスは“行動と心”の二つでできています。宿題をする、部活で走る、家族でご飯を食べる―。これらはすべて行動です。

でも、同じ行動でも、不機嫌かごきげんかで質はまったく違ってきます。

学校では「返事をしなさい」「ルールを守りなさい」といった、外(社会)向きの認知的な教育が中心です。

でも本当に大切なのは、自分の心の状態を整え、やるべきことをやる力。つまり、自分の機嫌をマネジメントできる脳の使い方を私は「ライフスキル」と呼んでいます。

家庭でできる第一歩は、「今日は何をした?」ではなく「今日はどんな気持ちだった?」と、子どもが自分の感情にアクセスできる問いかけをしていくことです。

親のごきげんが子どもを支える

写真AC

親のご機嫌は、子どもにどう影響するのでしょうか?

辻先生 私はよく、「子育ての8割は“親がごきげんでいること」だと言っています。

親がご機嫌でいれば、子どもは安心して感情を出せるし、挑戦もしやすい。逆に親が不機嫌だと「本音を言うと怒られるかも」と感じてしまいます。親がごきげんでいること自体が、子どもにとって支援になるんです。

もちろん人間ですから、感情的になる瞬間はあります。でも大事なのは“どれだけ早くごきげんに戻れるか”だと思っています。

携帯電話や財布など価値が分かりやすいものは、大切なものだと思ってなくさないようにしますよね?でも、心の状態や機嫌は「見えない価値」だから軽視されがちです。

だから家庭で「ごきげんでいることの価値」を共有し、子どもと一緒に育んでいく。それが親としての役割であり、大人として自分の成長にもつながると思っています。

子育てとは「自分育て」

親自身も、「ごきげんな親」に変わることはできるのでしょうか?

辻先生 大切なのはまず「自分育て・自分づくり」です。

親が自分を整えられれば、その背中を見て子どもも育つ。

声かけの種類を必死に覚える必要はありません。親がライフスキルを磨いていけば、声かけは自然に変わっていきます。

私は、皆さんが「自分と子どもを信じて、ごきげんで子育てできること」を応援しています。

これからの連載に向けて

次回からは、実際にファンファン福岡編集部に寄せられた福岡の子育てをする親御さんたちの「声かけの悩み」に答えていきます。

「部活をやめたいと言われたら?」「兄弟げんかを止めたいときは?」など、誰もが「うちもそう」と思わずうなずいてしまうようなお悩みです。

大切なのは、言葉の選び方よりも、親の心の状態。「子どもを変えたいなら、まずは自分がごきげんでいることから」。

ごきげんを軸にした声かけのヒントを、一緒に見つけていきましょう!

辻 秀一(つじ しゅういち)

スポーツドクター、メンタルコーチ、産業医。株式会社エミネクロス代表取締役。1961年東京都生まれ。北海道大学医学部卒業後、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターでスポーツ医学を学ぶ。1999年、QOL向上を目的に株式会社エミネクロスを設立。

独自の「辻メソッド」による非認知スキルのメンタルトレーニングを展開し、オリンピアンやプロアスリート、企業、教育現場まで幅広く支援。Dialogue Sports研究所代表理事も務める。

著書に『個性を輝かせる子育て、つぶす子育て』(フォレスト出版)、『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)『自己肯定感ハラスメント』(フォレスト出版)など多数。

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