実家で暮らしていた頃、隣には近寄りがたい雰囲気をまとった年配の女性が住んでいました。日々の小さな嫌がらせが続いていたある日、新築したばかりのわが家の屋上に信じがたいものが飛んできたのです!そしてそれが、祖母の代から続く長い因縁からの“最後の一撃”だったとは…。
お隣さんは“怖いおばあさん”

私が実家に暮らしていた頃、お隣には祖母より少し年上のおばあさんと、その娘一家が住んでいました。とても気難しい人で、挨拶をしても視線を逸らして立ち去ってしまうような方。孫は私と同年代でしたが、声をかけても冷たい言葉を返すばかりで、親しくなることはありませんでした。
子どもの頃から「ちょっと怖い」と感じていたお隣のおばあさん。鋭い目つきや大柄な体格、強い口調は、一度見たら忘れられないほど印象的でした。
祖母の代から続く因縁
私の実家は、田舎から出てきた祖母が若い頃に建てた家です。当時のこの地域は古参の人たちの結束が強く、また若い女性が成功する様が疎ましがられ、祖母は数々の嫌がらせを受けてきました。
「あの土地は、昔猫を虐待していた人が住んでいて、土の中には無数の猫の死体が埋まっている。だから、あの人(祖母)は猫の怨霊に取り憑かれているのだ」など根拠のない噂を流されたり、町内会で厄介な仕事を押し付けられたり…。それでも祖母は屈せず、次第に地域の人たちから認められるようになりました。ただ一人、お隣のおばあさんだけは最後まで心を開かず、細かな嫌がらせを続けていたのです。
ある日とんでもないものが投げ込まれ…

静かだった関係が再び動き出したのは、わが家を新築したときでした。ある日、父とその友人が屋上でお茶をしていたときのこと。
――パァンッ!
突然、生卵が次々と飛んできたのです。見下ろすと、お隣のおばあさんが孫に指示をして、家の前から屋上へ向かって卵を投げ入れている姿が。そして父と目が合うと、何事もなかったかのように引き上げていったそうです。その堂々とした背中に、父も友人も唖然。
駆け付けた私が目にしたのは、黄身と白身でベタベタになった床と壁。濃厚なにおいに、背筋がぞっとしました。
“最後の一撃”

その後、私たちは自然とお隣一家との接触を避けるようになりました。しばらくして、おばあさんは体調を崩し、そのまま亡くなられたと聞きました。
今振り返ると、あの卵爆弾事件は、長年続いた因縁の「最後の一撃」だったのかもしれません。困惑させられた出来事も、時を経て思い出すと、不思議と懐かしい気持ちになります。強烈な存在感を残したお隣のおばあさんは、亡くなった今もなお、私の記憶にしっかり刻まれ続けています。
(ファンファン福岡公式ライター / June)


