子育ての毎日は、思いもよらない出来事の連続です。そのなかでも「親の体調不良」は、避けて通れない試練のひとつ。特にワンオペ育児では、心身ともに限界を感じることもあります。突然、私が38度を超える熱が出たあの日。休むことすらできず、限界を迎えていたその時、“息子のある一言”が、私を救ってくれました。
突然の発熱、ワンオペ育児の現実

それは平日の夜でした。仕事を終えたあと、体が急に熱くなり、体温を測ると38度を超えていました。頭は割れるように痛く、関節は鉛のように重い…。
それでも、小学校に上がったばかりの息子は待ってはくれません。
「ママ、お腹すいた!」「あそぼう!」「ねむたい」どれも子どもにとっては自然な欲求です。
けれど、私の代わりに息子の世話をしてくれる人はいません。布団に横たわりたい気持ちを我慢し、ふらふらの身体で台所に立ちました。熱でぼんやりした視界の中、息子の無邪気な笑顔に、気持ちが和らぐのを感じました。
しかしそれも束の間、体のだるさは増すばかりでした。
限界を迎えた孤独な夜

なんとかご飯を用意し、最低限の片付けをして、お風呂に入れ、やっと寝かしつけへ。布団にたどり着くまでの道のりが、とてつもなく長く感じました。熱で体中が痛み、思うように動けない自分にイライラが募ります。
「どうして私だけ…」「もう無理かもしれない」そんな言葉が頭の中をぐるぐる回り、涙がにじみました。
旦那はまだ仕事で帰れない。頼る相手がひとりもいない…。まるで出口の見えないトンネルを歩いているような気持ちでした。
忘れられない息子の一言

ようやく息子を寝かしつけ、並んで布団に入りました。すると、隣で寝ていた息子が、私の顔をじっと見て小さな声で一言。
「ママ、だいじょうぶ?ぼくがいるからね」
たどたどしい言葉でしたが、その一言はまっすぐに胸の奥まで届きました。幼いながらも母のつらさを感じ取り、精いっぱいの言葉で寄り添ってくれた息子。その優しさに、張りつめていた気持ちが一気にほどけ、涙が止まりませんでした。
「ママもがんばるね」そうつぶやきながら、心から安心できた瞬間でした。その夜、息子が小さな手で私の手を握りしめてくれたことは今でも忘れられません。
息子が教えてくれた“支え”の形

ワンオペ育児は過酷で、特に体調を崩した時には孤独と不安が押し寄せてきます。けれど、支えてくれるのは必ずしも大人だけとは限りません。幼い子どもでも、その存在や言葉が大きな支えになるのだと身をもって知りました。
「完璧じゃなくてもいい。息子と一緒に、少しずつ乗り越えていけばいい」
そう思えるようになってから、気持ちがぐっと軽くなったのです。息子と共に過ごすなかで、小さな喜びや心に響く言葉に出会える瞬間がたくさんあります。この出来事を通して、息子は私に大切なことを教えてくれました。
毎日そばにいる息子の存在こそが、私にとっては何よりの支えであり、どんな困難も乗り越えさせてくれるのだと、今では心から感じています。
(ファンファン福岡公式ライター/momo)


