子どもの成長のために始めた習い事。最初は親子で楽しみに通っていたのに…。送り迎えの待ち時間で出会った“ママ友の輪”が、次第に私の心を重くしていきました。笑顔の裏に潜む、言葉にできない空気。当時の私は、知らず知らずのうちに大きなストレスを抱えていたのです。
送り迎えで出会ったママ友たち

娘が小学校に上がったばかりの頃、「お友だちが通ってるピアノ教室に行きたい」と言いました。家で楽しそうに鍵盤を弾く姿を見て、「やらせてあげたい」とすぐに申し込み、週1回のピアノ教室に通い始めました。
送り迎えの時間には、待合室で数人のママがいつも集まります。最初は「こんにちは」と挨拶する程度で、子どもの話や学校のことを少し話すだけ。娘は楽しそうで、新しい仲間ができた安心感もあり、私自身も充実した時間を感じていました。
笑顔の裏に潜む、不穏な空気

しかし数カ月経つと、会話の雰囲気が少しずつ変わってきました。
「〇〇ちゃん、もうバイエル終わったのよ」
「毎日1時間練習してるの」
「ご主人、送り迎えしてくれて偉いわね」
一見すると何気ない情報交換のようにも聞こえますが、私は胸がチクリと痛みました。
「うちはそこまでできていない…」「夫は帰りが遅くて私だけ…」直接言われたわけではないですが、比べられているようで落ち着きません。
さらに発表会前には、「ソロパートに選ばれた!衣装どうしよう」などと、誇らしげな声が飛び交い、笑顔で返しても私の心はざわざわ…。だんだんとその空気に敏感になっていきました。
いよいよ送り迎えが苦痛に…

やがて送り迎えが憂うつになり、子どもが楽しんでいる間も「また比べられるのでは…」と身構えるように。自然な会話にも取り残された気分になり、「うちだけ遅れているのでは…」などと不安は募るばかりでした。
そんなある日、帰り道で娘がぽつり。
「ママ、ピアノやめたい」理由を聞くと、
「楽しいけど、友だちと比べられることばかり言われるのが嫌」とのことでした。
子ども同士でも「〇〇ちゃんは弾ける」「毎日練習してる」と話していたようで、それが娘にとって負担になっていたのです。
私だけでなく、娘も同じように疲れていました。それを知った瞬間、胸がぎゅっと締めつけられ、改めて私たち親子が抱えていたストレスの大きさに気づかされました。
ついに退会を決意!

「子どものため」と思って続けていた習い事。しかし、実際には親子でストレスを抱えていました。娘の「やめたい」という言葉をきっかけに退会を決意すると、肩の力がすっと抜けていきました。
退会後、娘は「ピアノは好きだから、また落ち着いたらやりたい」と笑顔を見せました。私も送迎時のママ友との会話がなくなったことで穏やかに過ごせるようになり、家庭の空気もやわらぎました。
今回の経験で強く感じたのは、ママ友付き合いは頑張って輪に入ることが正解とは限らず、“無理しない距離感”が一番だということ。そして何よりも、子どもが笑顔でいられる環境を大切にすることこそ、親の役割だと実感しました。
(ファンファン福岡公式ライター/momo)


