【映画】9月19日福岡県先行公開!大牟田市が舞台「オオムタアツシの青春」主演・筧美和子さんにインタビュー

 福岡県内で9月19日に先行公開される映画「オオムタアツシの青春」は、大牟田市を舞台に、人間ドラマが描かれています。炭鉱町として栄えた地域の風景や、そこで交差する登場人物たちの再出発がテーマになっています。今回、映画初主演の俳優、筧美和子さん(31)に撮影時のエピソードや、作品に込めた思いなどを聞きました。

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地元銘菓の「草木饅頭」が好物に

今回、長編映画初主演ですが、オファーを受けた時の気持ちは?

純粋に嬉しかったです。作品の中心となる役を任せていただけたというのも嬉しかったですし、本当に気が引き締まるというか。とにかく時間がない中で「できることをやらなくては」と思って、喜びに浸る時間もなく、準備にいそしんでいました。

どのような準備を?

一番は方言ですね。とにかく音声で、(共演した大牟田出身の)林田麻里さんが録音してくださった音声を、何度も何度も聞いて、生活しながら家の中でブツブツ言って。大牟田に入ってからはパティシエの技術面の練習もありました。あとは台本を読み込むこととか、とにかく大牟田に入るまでにしっかり自分の中で、演じる「亜美」ができたらな、と思って東京で準備をして挑みました。

パティシエの役ということで、苦労された点は?

いくつかの工程については監督から、「動きを完璧にしておいてください」という指示がありました。完全に美味しいものを作れるようになるというより、動きがプロに見えるようにするコトを目指して練習を重ねたんですけど、中でもマドレーヌを型に1個ずつ移していくんですが、プロの方と見比べると、腕の動きとかがすごくぎこちなくて、滑らかになるまでとにかく回数を重ねるしかないという感じでした。大牟田にすごく美味しい洋菓子屋さんがあるので、時間があったら伺って教わっていました。

作品では大牟田のお菓子を集めて食べるシーンがありました。「かすてら饅頭」とか「草木饅頭」とか。気に入ったものはありましたか?

草木饅頭はすごく好きです。口に入れた時の、丸い。何て言うんだろう、優しい、「まるっ」とした感じと、餡の味がすごく好きです。

普段からお菓子作りはしますか?

全然できていません。お菓子は細かい分量が大事だと思うんですけど。大雑把な料理しかできないので、チャレンジできていないですね。

大牟田の〝空気感〟が演じるエネルギーに

大牟田で印象に残ったところとか、良かったところとかありましたか?

過去に出演した映画「向田理髪店」の時は、大牟田での撮影がありましたがコロナ禍だったので、あまり大牟田を散策することもできなくて。でも今回は1か月あったので、けっこう一人でふらっと出かけることもありました。個人的には街並みもすごく好きですし、昭和風情が残っている感じもすごく素敵だなと思って。懐かしい気持ちになるような風景があります。普段、東京で自宅との往復で撮影をするのとは感覚が違って、大牟田独特の空気感を感じながらの撮影は、私も普段なかなか自発的には出せないエネルギーが出ていたんじゃないかなと、大牟田からすごく熱量をもらって、「亜美」という役ができていったと思っています。

独特の空気感とは?

街も人もすごくピュアで熱い方が多くて。今回の映画スタッフにも大牟田出身の方がたくさんいらっしゃるんですけど、皆さんすごく真っすぐに向き合ってくださって。それは炭鉱の町だった大牟田ならではの、受け継がれてきたソウル(魂)があるんじゃないかなと。ちょっと言葉に言い表すのは難しいですけど、それが今回の映画にもすごく表れている気がします。

地方都市は閉鎖的な面もありますが、大牟田は色々なところから人が集まってくる町なので、そういう開放性も感じられたんじゃないのかなと思います

そうですね。フレンドリーな感じの方々もたくさんいらっしゃいますし。そうですね。そういうところは、今回の映画の話ともちょっと通ずるかもしれない。

「方言、良かったよ」 陣内孝則さんからの言葉

先ほどもちょっと出た方言についてですが、出てくるのが大牟田弁、博多弁、北九州弁に佐賀弁。大牟田出身の林田麻里さんや、大川市出身の陣内孝則さんも出演されている。アドバイスなどありましたか?

林田さんは方言指導で、付きっきりでやってくださいました。アドバイスも。分からなかったらすぐ林田さんに聞いて、不安になったら林田さんに「大丈夫ですか?」と聞いたりとかして。陣内さんはすごく温かく見守ってくださったんですが、撮影が終盤になってきた時に、「筧ちゃんの方言、良かったよ」みたいなことを急に言ってくださったので、すごくホッとしました。陣内さんに言われると。

筧さんが博多弁を普通に使っていて自然な感じでした

東京出身なので、なかなか方言を使う機会もなくて、すごく楽しんでやっていたんですけど、やっぱり音がすごく面白くて、博多弁とか大牟田弁。リズムとして面白いみたいなところもあって、楽しんでやっていました。

博多弁と、佐賀弁と、大牟田弁と、北九州弁って聞き分けられましたか?

分からないですよ。でも、大牟田での滞在中は、だんだん、ちょっと「あれ?」みたいな。「聞き分けられているかも?」。と感じることもありました。違いはあるな、と感じました。

陣内さんを含め、共演の方々の撮影中のエピソードがあれば

今回、メンバーがめちゃくちゃ良くて、バランスもいいし、皆さんいい方ばかりだったんですが、基本的に陣内さんが中心となって、合間の時間はいつも陣内さんが面白い話をしてくださって、それをみんなで囲んで聞いているという感じでした。

映画から影響を受けた「これからの生き方」

今回演じられた亜美の回りの人物が少しずつ前進していく物語だった。「人はいつでもやり直せる」というメッセージが込められていると思いますが筧さん自身が作品を通じて影響を受けたり、感じたりした部分は?

たくさんありますが、中でもすごく印象に残っているのは、司が過去に過ちを犯してしまっていて、償っている姿が描かれていた。それに対する亜美の言葉がすごく素敵だったなと思って、一度過ちを犯してしまったり、つまずいてしまったりして、気持ちを切り替えていいのかとか、どういう姿勢でこれから生きていけばいいのかとか、そういう〝道しるべ〟もなかなか、分からなくなってしまうことが多いと思うんですが、亜美の言葉は誰にとっても伝わるだろうし、力強くて素敵だなと思います。それが発見だったというか、自分の中に、そこまでの答えを出せたことがなかったので、映画を通して、良い発見ができたと思っています。

映画の中では、亜美の強気で一本気な性格が印象的だった。筧さん自身は演じやすかったか、演じにくかったでしょうか

初めは、あまり近い人間性、性格ではないのかな、と思っていたんですけど、演じていく中で、どんどん一体化していくような感覚があって、それは亜美も強気に見えるんですが、弱い部分も持っていて、作品の中でいろんな表情が見えて、いろんな姿があって、亜美を知っていく中で、自分とは遠い存在だと思っていたのが、「私とも近いな」というか、すごく重なるところもありました。亜美はすごく本能的な人。普段ちゃんとしようとしている時は亜美と筧美和子は重ならないんですけど、根底はすごく近いんじゃないかなっていう感じに思いました。

亜美と共通している部分もあると

亜美は、映画の中ではすごく奮闘している時期で、そういう時のもがいている姿って、自分もそういう一生懸命な時に、周りを振り回してしまったこともあったな、と思って。全部が全部一緒ってわけではないですけど、気持ちが分かる面はすごくあるなという感じです。

全編大牟田ロケで「役と一体化」する感覚も

先ほど、「少しずつ一体化していった」というお話がありました。撮影を通じて、どのあたりで感じたのでしょうか?

撮影期間中に大牟田で生活して、撮影が終わってからも、銭湯に行ったりとか。ご飯屋さん行ったり、散歩したりとか、休日にはショッピングモールに行くこともありました。そうしていると、筧美和子なんですけど、筧美和子ではなくなっていくような、亜美の生活に近づいていくような、そういうところが役に影響した気もしていて、大牟田の方々と接するのもそうですし。どんどん演じている感覚っていうのが薄らいでいって、自分との境界線がだいぶなくなっていったと思います。

一番印象に残っているシーン、注目してもらいたいシーンは?

色々あるんですが、これまで亜美が抱えてきた母親との確執を、林田麻里さん演じる古賀沙緒里に洋菓子店で明かす場面です。映画は、それぞれの登場人物が再出発する物語になっているのですが、亜美としては母との確執について、一歩踏み出すことができたんじゃないかなと思えるシーンで、私自身すごく思い入れがあります。

これから映画「オオムタアツシの青春」を鑑賞する人たちに向けたメッセージを

すごくいい映画になっていますし、大牟田の魅力も練り込んでありますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

【プロフィール】
 筧美和子(かけい・みわこ) 1994年3月6日生まれ。東京都出身。女性ファッション誌「JJ」の専属モデルを務め、その後は俳優として多くのドラマや映画に出演。福岡県大牟田市で撮影が行われた2022年公開の映画「向田理髪店」にも出演している。
【ストーリー】
 夢だった洋菓子店を出店するため福岡県大牟田市にやってきた五十嵐亜美(筧美和子)は、下校中の少女、古賀日菜子(奥野楓)がけがをする場面に遭遇する。その場に居合わせた静男(陣内孝則)、司(福山翔大)と病院に連れて行くことになるが、亜美は店を共同経営する予定だった友人から見放されてしまう。静男と司も、他人に話していない過去を抱えていた。人生の壁にぶつかった3人の大人たちが、病を抱えながら前を向く日菜子との出会いを通じて未来へと歩み始める物語。
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