
「米を磨き、搾り、透き通るまで仕上げた日本酒──
その美しさと引き換えに、香りや味わいまでも削ぎ落としてはいないだろうか。」
そんな問いから始まったどぶろく造りの挑戦が、いま福岡・糸島の地から全国へ広がろうとしています。
舞台は、福岡県糸島市の小さな醸造所「Cultiva」。
手がけるのは、研究者出身の醸造家・副田大介(そえだ だいすけ)さん。
「素材(米)の個性がしっかり酒に反映されるような、日本酒の可能性を追求したい」
その想いを具現化すべく、副田さんは8月1日、CAMPFIREでのクラウドファンディングをスタートさせました。
研究者×醸造家──副田大介さんのバックグラウンド

副田さんは春日市出身。九州大学大学院で生物工学と応用微生物学を学び、修士号を取得したのち、本格麦焼酎「いいちこ」で知られる三和酒類株式会社にて研究職に従事。
原料と香味の関係性や、香気成分の定量分析などに携わり、2022年には国家資格「技術士(生物工学部門)」も取得するなど、実績ある技術者でもあります。
「品種の違いは、理屈でも舌でも、はっきり味に表れる」
副田さんは、焼酎の研究現場で得たこの確信を、日本酒の世界にも持ち込みました。
ただの職人ではなく、研究者の目線で“素材の風味”を引き出す。
それが、彼の酒づくりの根本にある姿勢です。
なぜこのプロジェクトを立ち上げたのか?

米の品種や育った土地、栽培方法の違いによって、香りや酸味、旨味の出方が変わる。
それは副田さんにとって、研究の現場で何度も確認してきた“あたりまえ”の事実でした。
けれど日本酒の世界では、精米歩合の数値や使われる品種が限られることで、そうした素材の違いが見えづらくなっている。
そのギャップに、違和感を覚えるようになります。
「米の違いを、酒そのものの違いに」
その想いをかたちにする手段として、副田さんが選んだのが“どぶろく”でした。
搾らず、削らず、米の輪郭をそのまま活かすことのできるこのスタイルなら、研究で積み上げてきた確信を、味という形で届けられる。
このプロジェクトは、そんな発想から生まれています。
商品の魅力──“ありのまま”が重なる、深い余韻

Cultivaのどぶろくは、精米を最小限に抑えたお米を、天然乳酸菌と木桶でじっくりと発酵させたお酒。
米の外層に残るタンパク質やミネラルが、旨味や酸味の輪郭をくっきりと引き出し、そこに自然発酵由来の微かな発泡感が重なります。
まろやかでふくよかな口あたりなのに、重すぎない。
米の粒感やとろみもほどよく残り、ひと口ごとに違った表情が楽しめるのも魅力です。
“にごり”や“粒感”といった見た目や舌ざわりまでもが、この酒にとっての重要な要素。
「整える」のではなく「そのままを活かす」という考え方が、味わいに現れています。
キーワードは「酒米テロワール」

ワインの世界では常識とも言える「テロワール(Terroir)」という概念があります。
気候や土壌、栽培方法、育て手の工夫──そうした土地の特徴が味に反映されるという考え方です。
Cultivaはこのテロワールの概念を日本酒に応用し、「酒米テロワール」というテーマを掲げました。
今回仕込んだのは、福岡県産の2つの米
- 山田錦(酒造好適米)
- ヒノヒカリ(飯米)
この2種を同じ環境・手法で醸すことで、「品種の違い」が味わいにどう表れるかを比較できる構成に仕立てています。
米が違えば、香りも酸味も、余韻の広がりもまるで変わる。
たとえ同じ土地で育てても、その違いがちゃんと舌に伝わるようにするのが、Cultivaの仕事です。
「Cultiva」クラウドファンディング詳細

副田氏による本プロジェクトは、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて現在公開中。
リターンには、限定醸造酒や酒米比較セット、蔵見学など多様な内容が揃っています。
スケジュール
・2025年8月 醸造開始(木桶生酛仕込み)
・2025年9月 瓶詰め・熟成
・2025年10月 出荷・リターン発送開始
資金の使い道
・木桶や醸造設備の導入費
・原料米の確保と契約農家への支払い
・ラベル印刷や瓶資材などの資材費
・輸送費やクラファン手数料
リターン(一部紹介)
福岡県産「山田錦」濁酒(初回生産分)

福岡県産「ヒノヒカリ」濁酒(初回生産分)

福岡県産「山田錦」&「ヒノヒカリ」濁酒飲み比べセット

福岡県産「山田錦」濁酒セット(2025醸造 & 2026醸造)

木桶仕込みの特別濁酒(初回生産分)

オリジナル濁酒造り

1日醸造体験会(2025BY: 2026年1月~順次) (限定5組)

おすすめの楽しみ方
白身魚や焼き鳥など和食との相性◎
冷やして・常温で・ぬる燗で味わいが変化
なにより「飲み比べ」で違いが立ち上がる!