第一子妊娠を義両親に報告すると喜んでくれたのですが、名付けについて急に張り切り出す義母。そして、信じられない言葉が待っていたのです。
妊娠報告に沸いた義母

「義男(よしお)がいいわよ。義は代々使われてきた字だし」妊娠を報告した瞬間、義母が当然のように言ってきました。まだお腹も目立っていないのに、義母の頭の中ではすでに「名付け」が終わっていたようです。
「男の子なら絶対、義男にしましょう!」そう目を輝かせる義母の言葉に、私は思わず苦笑いしてしまいました。「義男」という名前、正直なところ私の考えている名前とは相当かけ離れていました。けれど義母は満足げに微笑み、変更の余地などないといった表情をしています。
知らぬ間に決まっていた運命

さらに衝撃の事実が明らかになりました。
「実はね、占いの先生に見てもらったの。義という字が、この子の運命を開くって言われたのよ!」
妊娠を伝える前から、義母は知り合いの占い師に相談していたそうです。まだ性別すら確定していない時期に、名前だけが独り歩きしていたことに私は戸惑いを隠せませんでした。さらに追い打ちをかけるように、夫からまさかの一言が飛び出しました。
「悪い名前じゃないし、母さんの気持ち分かるし…」その言葉を聞いた瞬間、私は天を仰ぎました。夫は何も分かっていない… そう強く感じました。
「妥協でつけた名前なんて、この子に一番失礼だよ!」私はそう言いました。
名前は、親が子に贈る最初のプレゼントです。そこに妥協や他人の思惑が混ざってしまったら、その名前を呼ぶたびに私は自分を責めてしまいそうでした。それから、夫とは何度も話し合いました。時にはぶつかり、時には黙り込んで考える日々。
それでも、ようやく2人で納得のいく名前を決めることができました。意味や音の響き、字画だけでなく、子どもが将来どんな道に進んでも違和感のないような、そんな名前を選びました。
出生届を提出したら義母激怒

そして、私は無事に元気な男の子を出産。私たちは、夫と2人で決めた名前で出生届を提出しました。翌日、義母から怒りの電話がかかってきました。
「なんで義男じゃないの!? 先生にも相談したのに! 義は代々使われてきた字なのに、その名前じゃご先祖様に失礼じゃない!」怒りに満ちた声が電話越しに響きました。私は深呼吸をひとつしてから、落ち着いて答えました。
「この子はお義母さんでも占い師でもなく、私たちが育てる子ですので、私たちが納得のいく名前を選びました」一瞬、義母の声が止まりました。驚いたのか、返す言葉が見つからなかったのか、それ以上の追及はありませんでした。
言葉にするのは勇気が必要でしたが、私は後悔していません。この子の名前を、誰かの期待や伝統に縛られて決めることはできませんでした。親である私たちが真剣に考え、心を込めて贈った名前です。胸を張っていいと、今でも思っています。
名前に込めたのは、誰かの期待ではなく未来

息子は元気いっぱいに育っています。義母はまだ少し不満そうな様子を見せることもありますが、息子の名前を呼ぶ声がだんだん柔らかくなってきた気がします。名付けとは、単に呼び名をつける作業ではありません。親としての責任を果たす大きな節目です。占いも伝統も関係ありません。
だからこそ誰に気に入られるかではなく、この子にふさわしいかで決めたい。それが私たち夫婦の出した答えでした。
(ファンファン福岡公式ライター/ぴち)


