赤ちゃんとの暮らしは想像以上に大変。でもその小さな寝顔を見れば、疲れも一瞬忘れられる。そんな私の心を乱したのは、義母からの“善意のLINE”でした。「写真送って!」「返事まだ?」その頻度は、朝から晩まで1日30通以上。最初は気を遣って返していたけれど、ある日、スマホを手にしたまま涙が止まらなくなったのです。
“善意”が苦しみに変わるとき

赤ちゃんが生まれて、世界が一気に変わりました。全てが初めてで、目まぐるしい毎日。それでも赤ちゃんの寝顔を見ると、心が温かくなります。しかし、その穏やかな時間をかき乱したのが、義母からの大量のLINEでした。
「孫が生まれて本当に嬉しい」と言ってくれる義母。その気持ちは痛いほど伝わってきました。ですが、義母の“善意”は少しずつ、私の心を追い詰めていきました。「写真ちょうだい!」「今日は何してたの?」というメッセージが、1日に30通以上。しかも朝から夜まで、絶え間なく届きます。
最初は返事をしていましたが、返せば返すほどエスカレートしていく通知。スタンプの連投や「今見てくれた?」の即レス希望。スマホを開くのが怖くなり、通知音が鳴るたびに胸がぎゅっと締めつけられるようになりました。
育児疲れとLINE疲れが重なり、心が折れそうに

出産後の生活は、想像をはるかに超えるものでした。夜は2時間おきの授乳で細切れの睡眠、昼間は赤ちゃんの泣き声に神経を張り詰め、少しの静寂さえも許されない日々。自分のことなど後回し。お風呂にゆっくり入ることはもちろん、髪をとかす時間も、ご飯をゆっくり噛む余裕すらありません。
そんな中で、義母からの通知音が執拗に鳴り続けました。最初は「元気かな? って心配してくれてるのかも」と前向きに考えていましたが、いつしかスマホを見ることに恐怖すら覚えるようになりました。LINEの通知アイコンが1件増えるたびに、心臓がドクンと大きく跳ねる。まるでアラームのように、精神を削っていきました。
赤ちゃんがやっと眠ってくれた貴重な時間。スマホを開くと、義母からの通知がズラリと並び「かわいいね~!」「もっと写真見せて!」という文面の後に、キラキラしたスタンプが連なっていました。目にするたび、どんどん疲弊していく心。写真を撮る余裕もないし、正直、撮る気力すら残っていませんでした。
もう限界… 夫に泣きながら打ち明けた夜

ある時、手が震えてスマホを落としてしまいました。「返さなきゃ」と焦る気持ちと、「もう嫌だ、見たくない」という逃げ出したい思いがせめぎ合い、涙が止まらなくなりました。LINEが来るたびに、自分が追い込まれているのを自覚しつつも、「これは贅沢な悩みなんじゃないか」と罪悪感すら抱えてしまう… そんな悪循環に、心がすっかり疲れてしまっていたのです。
ある夜、とうとう私は夫に「もう限界」と泣きながら訴えました。夫は最初、
「母さん、そんなに悪気はないと思うよ」と言いました。その言葉に、私は張り詰めていたものが崩れ落ち、
「悪気がないからこそ、こんなに苦しいの」と言葉を詰まらせながら訴えました。
声が震えて、感情があふれ出し、自分でも驚くほど涙が止まりませんでした。それを見た夫は、ようやく事の深刻さに気づいてくれました。次の日、やんわりと義母に「今は育児に集中したいから、連絡の頻度を控えてほしい」と伝えてくれました。
その日以降、義母からのLINEは少しずつ減っていきました。スマホが静かになっただけで、世界が穏やかに感じられました。赤ちゃんの寝顔を見つめる時間、深呼吸をする余裕、そして何より「自分に戻れる感覚」が少しずつ蘇ってきました。私はようやく、赤ちゃんの小さな寝息や表情の変化を心から愛おしいと思えるようになったのです。
あのとき勇気を出して打ち明けて、本当に良かったと思います。善意でも、相手にとっての負担になることがある。そのことを学ばされた出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/mie)


