劇団四季ミュージカル「オペラ座の怪人」福岡公演が、9月15日(月・祝)からキャナルシティ劇場(福岡市博多区)で上演されます。福岡では実に21年ぶりの上演で、舞台ファンならずとも期待は最高潮! あのおなじみの音楽が、今にも聞こえてきそうです。開幕を前にオペラ座の怪人役の一人、岩城雄太さんがファンファン福岡編集部を訪問してくれました。作品の魅力や役柄について聞きました。
スペクタル&豪華絢爛な世界で繰り広げられる悲しい愛の物語

―岩城さんが考える作品の魅力とは?
この作品は、音楽、衣装、装置、演出、すべてが完璧。まるでパリのオペラ座が出現したのではないかと思うくらいスペクタクルな舞台が目の前に現れます。そんな豪華絢爛な世界で繰り広げられるのは、悲しい愛の物語。その対比が素晴らしい。1986年にロンドンで産声を上げて、いまだに世界中でこのミュージカルが愛され続けているのは、時代を経ても心に響く愛のストーリーが、純粋さを失わずにそこにあるからだと思います。私自身もこの作品の大ファンなんです!

―音楽も有名な曲ばかりです。
しかも役の心理と音楽が見事にマッチしていて、歌がセリフのように紡がれていくのが本当に素晴らしい。作品を見たことがなくても一度は耳にしたことがある、聞き覚えのある音楽がたくさんあると思いますので「この場面でこの音楽が使われているんだな」と答え合わせをしながら、音楽も楽しんでいただけたらと思います。

―「オペラ座の怪人」の「ここを見て!」という場面を教えてください。
私が思う見どころは、結末に向かうラスト15分。オペラ座で起きた事柄が一気に集約され、ドラマチックなラストシーンにつながっていきます。
私も客席から作品を見ることがあるのですが、(この15分は)息をするのを忘れてしまうくらい見入ってしまいます。また、オペラ座の怪人役を演じていると感情移入をして苦しくなることもあり、こんなにドラマチックなラストシーンを持った舞台は他にないんじゃないかと思うほどの結末。みなさんにもぜひご覧になっていただきたいです。
また、キャナルシティ劇場は、お客さまの熱気が感じられるほど距離感が近い劇場。客席から細かい感情表現や息遣いを感じてくださるとうれしいですね。
札幌で見て「怪人をやってみたい」とこの世界へ

―岩城さんはミュージカル「アラジン」で、陽気なランプの精ジーニー役の一人としても出演されています。怪人役との演じ分けや切り替えなどは、どのように?
数あるミュージカル作品の役の中でも、ジーニーとオペラ座の怪人とは両極端というか、真逆のキャラクターと言ってもいいかもしれないですね。けれど世界に夜と昼があるように、人間にも光と闇があり、ジーニーにも怪人にも見えているのとは違う面がある。
私自身、周囲の人には明るいジーニー側の人間として認知されていると思いますが(笑)、そんな私でも人に言えないコンプレックスや悩みを抱えながら生きてきていますから。

―ジーニーと怪人にも共通項があるということですか。
昨年、ジーニー役と怪人役を続けて演じる期間がありました。私は役を演じるには、技術のほかにもその役に通じるハートを持っていなくてはと思っています。そして私は、どちらかというと役にどっぷり浸ってしまうタイプなので、当初は切り替えに苦労しました。ですが、闇の中にいたら光の美しさを実感するし、光を浴びていたら闇の深さを知るような感覚になり…。
表現方法や行動は異なるけども、どちらも自由や愛情を求めていて、根本にある核の愛情みたいなものは同じなんだなと思うようになりました。それからは、相乗効果といいますか、両方を共に歩んでいきたいと考えるようになりました。その方が、どちらの役も深まっていくような気がしています。

―両役を演じる岩城さんならではの実感ですね。岩城さんにとって怪人役とは?
長く愛されている作品ですし、責任を感じます。
私と「オペラ座の怪人」との出合いは高校三年生の時。札幌市の劇場で初めて劇団四季の「オペラ座の怪人」を見ました。その時は歌も芝居も特に何もやっていなかったのですが、「怪人をやってみたい」と思ったんです。それから2001年に劇団四季に入団し、2020年に初めてオペラ座の怪人を演じることができました。一回一回の舞台を本当に一生懸命、リアリティーをもって務めています。
怪人役は孤独! 舞台の上で闇を見下ろして…

―役にどっぷり浸かったり、リアルさを意識して演じたり、オペラ座の怪人役はしんどくなりませんか。
怪人役は孤独です。舞台の上部で歌う場面は、下に広がる客席は真っ暗闇。通路にポンポンっとついた明かりを見ていると、一人でパリの街を見下ろしているような悲しい気分になります。墓場の場面も愛するクリスティーヌと恋敵のラウルのデュエットがどんどんどんどん胸に刺さってきて「もうこれ以上耐えられない!」と毎回なってしまいます。
―福岡公演に出演された時に楽しみ にしているのは?
水炊きですね! もう、本当に大好き! 水炊きって、なんであんなにおいしいんでしょうね(笑)。あの白濁したスープと鳥の溶け具合が最高。東京でも水炊きのお店に行ってみたんですが、なんだかちょっと福岡の味とは違っていて…。ほかには、鳥皮をぐるぐる巻いて何日もかけて作った焼き鳥も好きです。焼酎と一緒に楽しみたいところですが、怪人役はいつも以上に体調管理に気を遣うの で、公演期間はストイックに過ごすことになりそうです。

―九州・福岡の観客へメッセージを。
「オペラ座の怪人」は福岡では21年ぶりの上演です。時代を超えて愛され続ける伝説のミュージカルをキャナルシティ劇場で体感してください。劇場でお待ちしています!
プロフィル/岩城 雄太(いわき ゆうた) 北海道出身。2001年劇団四季入団。「オペラ座の怪人」のオペラ座の怪人役は2020年から演じている。
劇団四季ミュージカル「オペラ座の怪人」
公演期間:9月15日(月・祝)~2026年4月5日(日)
場所:キャナルシティ劇場(福岡市博多区住吉1-2-1)
◆チケット…9月18日(木)~12月31日(水)公演分を発売中
バリュー料金:S席12,000円、A席9,500円、B席7,500円、C席4,500円
レギュラー料金:S席13,000円、A席10,000円、B席8,000円、C席5,000円
ピーク料金:S席14,000円、A席10,500円、B席8,500円、C席5,500円
※全て税込み価格 ※公演当日3歳以上有料(膝上観劇不可)、3歳未満の入場不可
問い合わせ:劇団四季 福岡オフィス
電話:0570-008-110(ナビダイヤル)


