幼稚園に入園すると、「どんな習い事をさせる?」という話題がよく出てきます。英語や体操などさまざまな人気の習い事がある中で、とりわけ人気だったのがスイミング。けれど、わが家にはちょっとした悩みがあって…。
習い事選びに迷う日々

ママ友の間でもスイミングは評判でした。全身運動になり、いざという時に役立つ水泳。私自身も幼稚園時代に習っていたこともあり、自然と娘にもやらせたい気持ちがありました。
しかし、娘は水が大の苦手。顔に水がかかるのを嫌がり、お風呂ではシャンプーハットが欠かせません。そのため「水嫌いでも大丈夫かな?」と不安がつのります。
「泳げないと将来困るから、早めに始めたよ」という周囲の声に、焦りも感じました。さらに「小学校のプール授業では、泳げない子は別メニューになるらしい」と聞き、「入学までに少しは泳げた方がいいのでは…?」と思い悩む日々が続きました。
水が苦手な娘、スイミング体験へ
先輩ママの「小さいうちならすぐ克服できるよ」という助言に背中を押され、思い切ってスイミングの体験教室に申し込みました。当日、緊張する娘に
「先生も優しいよ」と声をかけますが、プールサイドではうつむいたまま。いざプールに入ると、顔つけの練習で大号泣。
「いやー!!!」と泣き叫ぶ娘に、コーチも困り顔。さすがにその日は勧誘もなく、帰り道で
「もう行きたくない」ときっぱり言われました。「今はまだ無理だ」と痛感した瞬間でした。
数年後… まさかの宣言

それから数年。コロナ禍でプール授業もなくなり、水に親しむ機会はほぼ皆無。スイミングに通った友達はみんな泳げるようになっていましたが、「仕方がない」と受け止めるしかありませんでした。そんなある日、小学4年生になった娘が久しぶりに学校でのプール授業を終えて帰宅すると、少しもじもじしながら話しかけてきました。
「お母さん… スイミング、行ってみたい」突然の言葉に驚きつつ理由を聞くと、娘は恥ずかしそうに言いました。
「今日プールの授業があってね。泳げなかったのがクラスで私とあと2人だけだったんだ。だから泳げるようになりたいなって」
無理に勧めなくても、こうして自分から「やってみたい」と言う日が来るなんて… と胸が熱くなりました。すぐに近所のスイミングスクールに申し込み、体験レッスンに向かいました。初日の娘は緊張していたものの、どこか期待に満ちた表情。
「顔つけできるかな?」とコーチに聞かれると、
「うん、やってみる!」と笑顔で挑戦する娘の姿に感動しました。
そこからの上達は驚くほど早く、クロール、背泳ぎ、平泳ぎまで2年ほどで習得。小学校6年生の冬に辞めるまで「楽しい!」と前向きに通い続けられました。
習い事は「本人のやる気とタイミング次第」

今回の経験で実感したのは、習い事は「本人のやる気とタイミング次第」ということです。気が進まない時期に無理に続けさせても、長続きはしないでしょう。けれど、やる気が芽生えた瞬間こそがまさにその子の「ベストタイミング」。
親の希望を無理に押し付けるのではなく、子どものペースに寄り添うことが大切なのだと改めて感じました。あの日の涙も、今では笑い話。子どもの成長は本当にひとりひとり違います。焦らず見守る大切さを教えてくれた、わが家のスイミング体験でした。
(ファンファン福岡公式ライター/しらたま)


