「それ違う!」作文を手伝っただけなのに…息子からまさかのダメ出し!

夏休みの終盤、子どもの宿題に頭を抱えるのはわが家だけじゃないはず。ある日、作文の宿題に取り組んでいた小学3年生の息子から飛び出した“まさかの一言”。イラッとしながらも、ぐっとこらえて気づいた「親としての心得」。ちょっと苦くて、でも心が温まる夏の終わりの出来事です。

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夏休み終盤、宿題がラストスパートに突入

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 8月も残り数日。連日の水遊びや帰省で遊び疲れた息子とともに、残った宿題にようやく着手することになりました。なかでも手こずっていたのが、「夏の思い出」をテーマにした作文。

 「どう書けばいいの?」「なんて書いたらいいの?」と何度も聞いてくる息子に、私もつい、
 「たとえばこんなふうに書いてみたら?」と助言を繰り返していました。息子が作文が苦手なのは分かっていても、「このままじゃ間に合わない」という焦りも手伝って、気づけばどんどん口を出す量が増えていきました。

「それ違う!」息子の一言にハッとする

 「それ違う。僕はそんなこと思ってない。」息子の口から放たれた、まさかのダメ出しに言葉を失いました。私が提案した文章を、自分の気持ちとは違うと、バッサリ否定してきたのです。

 「いやいや、困ってるから手伝ってるんだけど?」とほんの少しだけ、イラッとしてしまう私。顔には出さないようにしたつもりでしたが、おそらく眉間にはしっかりシワが寄っていたと思います。

 でもその瞬間、私はハッとして我にかえり、必死になりすぎていた自分に気づきました。
「そうだよね。作文って、自分の気持ちを書くものだよね。」そう伝えると、息子は少し照れくさそうに、でもうれしそうに頷きました。

教えるよりも見守ること 作文から学んだ“親としての心得”

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 「子どもが困っているときは、手を差し伸べるのが親」これは、親となってからずっと信じてきたことです。でも今回、息子の一言にショックを受けながらも、気づいたことがありました。

 私の“助言”は、本当に彼のためだったのか? 彼自身の言葉で書くチャンスを、私が奪っていたのではないか?

 「こうすればいいのに」「これが正解でしょ」と先回りしてしまう癖。子どもがもがいている時間こそが学びの時間なのに、私はそれを邪魔してしまっていたのかもしれません。

 黙って見守ることは、実はなによりも難しい。正解そのものや、正解までの最短ルートを教えたくなる気持ちをぐっと飲み込み、「うん、いいね」と見守るその数分が、まるで修行のように長く感じました。

 結局、息子は自分なりの言葉で、拙いながらも作文を完成させました。テーマは「おじいちゃんの家で見た花火」。途中、言葉に詰まって鉛筆が止まるたびに、何度も口を挟みそうになりましたが、そのたびに深呼吸して耐えました。私は、冷たい麦茶をそっと置き、ただただ見守ることに徹しました。

「これ誰の宿題?」母親として必死だった私

 完成した作文を、得意げに読み上げる息子。
 「おばあちゃんの手作りカレーのにおいを、今も忘れていません。」なんて、感情をうまく言葉にできている一文に、不覚にもちょっと感動してしまいました。

 「うん、なかなかいいんじゃない?」そう言葉にしたとたん、自分の目頭がじんわり熱くなるのを感じました。けれど、その余韻の中でふと心に浮かんだ疑問。

 「これ、誰の宿題だったっけ?」息子が困っていると思い助言をしたものの、バッサリと却下され、さらにダメ出しまで受けたこの出来事。そこからは、息子の宿題の時間は、口を挟みたい気持ちをひたすら修行のように我慢する時間に変わりました。

 息子よりも宿題に必死だったのは、間違いなく母である私の方だったのかもしれません。

来年の夏も、親子で成長できる夏に

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 「宿題って、親も試されるんだな」この夏、私はそう痛感しました。教えるんじゃなくて、導くんだ。手伝うんじゃなくて、信じて待つんだ――。

 それができるようになるにはまだまだ時間がかかりそうな気がしました。来年の夏は、もう少し余裕を持って、もう少し笑顔で、怒らず、焦らず、見守れる“親”になれていたらいいな。そんな小さな願いとともに、私と息子の夏休みは終わりを迎えました。

(ファンファン福岡公式ライター/Sasaki)

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