アートとテクノロジーの新しい共創をめざすギャラリー「GAAAT GALLERY FUKUOKA_」が11月22日OPEN。オープニングアクトはキャラクターデザイナー・美樹本晴彦の展覧会

福岡は、いま日本で最もスタートアップとクリエイティブが交わる都市のひとつといわれている一方で、アートや美術の世界では東京や他の国際都市と比べると実作の発信機会や展示環境、アーティストへの制作支援がいまだ充分とはいいがたい。株式会社GAAATは、デジタルとフィジカルをつなぐ技術「Metal Canvas Art(MCA)」を用い、地域のクリエイターや日本のIP作品を“現物のアート”として再構築。場所に縛られない創造の流通を進めているが、その一環として2025年11月、福岡・天神に「GAAAT GALLERY FUKUOKA_」をオープンした。

「託された願い」(キービジュアル) ©︎1984 BIGWEST
目次

「超時空要塞マクロスシリーズ」美樹本晴彦が語る、展覧会への想い

「GAAAT GALLERY FUKUOKA_」の記念すべきオープニング展は、TVアニメ『超時空要塞マクロス』、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』をはじめ「メガゾーン23」シリーズ、『トップをねらえ!』『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』等のキャラクターデザインやキャラクター作画監督として知られている美樹本晴彦による展覧会「美樹本晴彦画集『MACROSS 』展〜響唱〜」。

国内だけでなく、世界中から愛されている「超時空要塞マクロス」シリーズをはじめとする美樹本晴彦氏の世界を福岡で堪能する貴重な展覧会となっている。

開幕に先立ち開かれた内覧会には美樹本晴彦氏も参加。本展のメインビジュアルとなった作品には直筆のサインが入れられた。

 美樹本晴彦氏に本展への想いについて、話をお聞かせいただいた。

Q月並みですが、本展覧会の見どころについてお聞かせいただけますでしょうか。

美樹本:この展覧会は40年前に描いた作品から現在に至るまで、様々な作品が展示されている。自分としては若描きで目を覆いたくような作品もあるが、当時の絵の雰囲気を変えないように工夫した。作品は描いた作品をメタルプレートに単に印刷しただけではない、工房関係者の技術が加わっており、立体的な線描や色彩の積層感がある独自の表現がなされていて、自分の未熟な部分を補ってくれた。

Q.美樹本先生の作品は40年の歳月を経て今もなお、多くの世代や国境を超えて愛されています。ご自分ではどのようにお考えですか。

美樹本:まずは「超時空要塞マクロス」シリーズが継続されてきたことがすばらしい。そこには様々なスタッフや関係者の努力の積み重ねがあった。その上で、自分が第1作に関わった当時はまだ学生で、当然、キャラクターを設定する際の業界の暗黙のルールなども知らなかった。当時のファン意識そのままに、怖いものしらずで仕事に取り組んでいた熱量が多少は影響しているのかもしれない。

あわせて、株式会社GAAATのCEOである徳橋佑輔氏に福岡にギャラリーをオープンした理由などを聞いた。

Q.はじめに本展に提供されているMCA技術について教えてください。

徳橋:本展に展示されている作品はいずれもデジタルデータを金属素材に立体的に再現するGAAAT社独自のアート技術Metal Canvas Art(MCA)を用いて制作されている。MCAを用いて制作された作品は光や角度によって変化する表情を持つ、いわば“触れられるデジタルアート”。NFTやデジタル所有の次に来る「リアルとデジタルの共存」が実現できると考えている。

Q.GAAAT社は本社は東京都ですが、アートの拠点として本社の所在地ではない福岡をあえて選ばれたのはなぜでしょうか。

徳橋:アートの市場は世界では3兆円規模といわれているが、国内市場規模はまだまだ小さい。今後も大きく成長していくアートという市場を見た際に立地的にもアジアに近い、福岡という場所が非常に魅力的に映った。また、外部の人間に開かれているというか、率直に評価してくれる。「良いものはよい、悪いものは悪い」とはっきりと言ってくれるように感じた。また、GAAAT社はスタートアップ企業でもある。そうした企業を積極的に受け入れてくれる素地が福岡市にあると考えた。

Q.オープニング展は美樹本晴彦さんの作品展でしたが、今後はどのような展開を考えられていらっしゃいますか。

徳橋:福岡や九州は数多くのクリエイターやアーティストを輩出している。そうしたアーティストをめざしているであろう、若いクリエイターや作家に作品の発表の機会や創作の場を与えていきたい。ストリートカルチャー等も取り上げていきたい。また、福岡の企業の交流の場としてこ「GAAAT GALLERY FUKUOKA_」が機能していくことを目指していく。

GAAAT社はMCA技術をアートに限らず企業IP・ブランド資産・文化財などにも応用し、知的財産を新しい形で社会に還元する事業展開を進めているとのこと。

内覧会では美樹本晴彦氏から「このギャラリーからは、今後若い才能がどんどん巣立っていくと思う。機会があればそうした取り組みにもぜひ協力を惜しまない」という未来のクリエイターへの激励の言葉もあった。「GAAAT GALLERY FUKUOKA_」の今後に注目したい。

「美樹本晴彦画集『MACROSS 』展〜響唱〜」は11月30日(日)まで。
※会期中、展示入れ替えがあり、前期は11月22日(土) ~25日(火)、後期は26日(水)〜30日(日)まで。前後期で40点の作品が展示される。

■展覧会名:美樹本晴彦画集『MACROSS 』展 〜響唱〜
■日時:11 月 22 日 (土) – 11 月 30 日 (日) (12:00 – 20:00)※会期中展示替えあり
■会場:GAAAT GALLERY FUKUOKA_
(福岡県福岡市中央区天神3丁目16-17 1F)

展覧会公式URL https://gallery.gaaat.com/pages/mikimotoharuhiko?utm_source=x&utm_medium=social&utm_campaign=macross&utm_content=macross_fukuoka_goods

ARENEで全ての画像を見る https://artne.jp/news/2301 

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